JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 ICDAホールディングス お客様へのおもてなしのために 教養を身につけ、人間力を鍛える
「学ぶ風土」を醸成している組織に贈られる「通信教育優秀企業賞」。
今回紹介するのは、ホンダ新車ディーラーからスタートし、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの新車ディーラー、中古車販売、そして自動車リサイクル事業までを展開する国際的流通複合企業体へと発展したICDAホールディングス。
同社は社員がお客様の「生涯カーライフパートナー」として貢献できるよう、通信教育を活用した自主的な学びに力を入れている。
上場が変えた社員の意識
「私はちょうど8年前、当社に入社しました。こちらに来てまず行ったのが、全営業社員に対するヒアリング調査です。当社はカリスマ性のあるトップが、強烈なリーダーシップで引っ張ってきた組織。そんな企業にありがちなのが、トップの思いと社員の意識レベルのギャップです。予想通りトップと社員の間には、かなりギャップがありました」と、人材開発室室長の金子憲二氏は上場以前の状況を振り返る。
トップの向井弘光氏はこの頃から既に上場をめざすと宣言していた。しかし、社員にとって現実味はなく、「上場? どういうこと?」という人が多い状態だった。そんな中でもトップが熱いメッセージを発信し続けることで、社内のムードは少しずつ変化していった。
そして、2012年頃、いよいよ上場が目前に見えてくると、社員の意識が明らかに変わっていった。取締役管理部長の黒田悟郎氏は社内の変化を振り返る。
「『夢を持て』『人生の成功哲学を身につけろ』『会社を利用して自分の夢を実現しなさい』――これらがトップの口ぐせでしたが、上場により自社の、ひいては自分自身の可能性が大きく広がるということを社員が理解しました。
また当社の社是は『我々は、すべての商品に愛情と情熱を持ち、つねに初心を忘れず、真心を持ってお客様に接しご満足していただくことを誇りとする』です。この社是に従い、お客様第一を徹底することが、自分たちの夢が叶うことにつながると、社員が気づいていったのです」
教育改革は新人・若年次から
上場は企業にとって一大転機となる。同社でも上場を機に社員の意識が一気に高まると同時に、もう1つ明らかな変化が起こった。採用面でメリットが生まれたのだ。
「上場企業となると、世の中からの見方が変わることを実感しました。中途採用を含め、当社への入社を希望する人材が底上げされたのです」(金子氏)
これを受けて、教育制度も改革した。まず新入社員の研修期間を、従来の1カ月から2カ月へと倍増。同時に、マナーや基本行動、主体性の育成を重視した体験型研修も導入された。このプログラムを黒田氏は「新入社員を鍛えて、社会人として独り立ちさせるためのノウハウが詰まったものであり、実際に受講した新入社員に聞くと、かなりインパクトの強い内容だったようで、反響もすごく良かった」と評価する。
若手に関しては、同社では以前から3年目までの研修に特に力を入れてきた。これは3年以内の離職率が以前は高かったからだが、研修を充実させた結果、離職者は目に見えて減ってきているという。