第10回 マタニティハラスメント 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第10回 マタニティハラスメント
妊娠中や子育て中の女性に対する「マタハラ」という言葉をよく聞くようになった。当社には特にそうした報告はないが、両立が難しいのか周囲の目を気にしてか、妊娠をきっかけに退職する例は少なくない。「妊娠したから退職」というのは時代遅れだと思うが、他の従業員のことを考えると、どこまで配慮をするべきか難しい。どう対応すべきだろうか。
マタハラに対して厳しい指導
女性活躍推進が叫ばれていますが、妊娠・出産・育児を機に仕事を辞める女性の数はまだまだ多いのが現状のようです。こうした中、妊娠中の女性や出産後の女性に対して職場で不利益な扱いや嫌がらせが行われる「マタニティハラスメント(マタハラ)」の認知が高まってきています。
国は、マタハラについて、さまざまな調査などを通じて対策や啓発活動を広めています。マタハラ防止を少子化対策にもつなげようと、女性の社会進出や子どもを産み育てやすい環境整備を進めています。
その1つに、2015 年1月の「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達」(厚生労働省)があります。これまでも男女雇用機会均等法や育児・介護休業法により、妊娠、出産、育児休業等をきっかけとした不利益取り扱いを禁止していましたが、マタハラを防ぐため、企業への指導をさらに厳しくしたのです。
例えば、「妊娠に伴い軽易な業務への変更が行われても、雇用条件を悪化させてはならない」といった内容にきちんと対応してこなかった雇用主は、厳しく指導されることになります。