負けないマネジャーのための孫子 第15回 組織の利害を一致させる教え
全体最適で行動する組織は強いもの。
しかし、自然にはそうはなりません。
手を打つ必要があります。
部門同士は反目し合う
今月の教えのキーワードは「率然」です。「率然」とは、中国五岳のひとつ、常山という山にすむ伝説の蛇のこと。この蛇はその頭を打つと尾が助け、その尾を打つと頭が助け、その腹を攻撃すると頭と尾が一緒に反撃してくるといいます。転じて、全体として鉄壁の守りを保つことを表しています。組織でいえば、まさに全体最適が実現できている状態です。
そして、この章句には有名な「呉越同舟」のたとえ(憎み合う者同士でも、乗り合わせた船が遭難しそうになれば助け合う)が続きます。
企業の各部門はどうでしょうか。多くは、会社という同じ「体」を持ちながらも、部門たる「頭」や「尾」は自然に反目し合うものです。
互いに協力したくないわけではないでしょう。ただ、まずは自部門の最適化を図るように行動しがちです。それぞれ部門ごとに売り上げや目標が異なるのですから当然のことです。しかしそのために、他部門への協力は無駄な労力に映り、支援や協力に消極的になっていきます。