特別レポート 研修サービス市場は堅調に推移 研修施設貸し各社はソフト面での差別化に注力
企業向け研修サービス市場は、景気の回復基調に伴い売上高ベースで堅調に推移している。大企業のみならず中小企業でも採用意欲が高まり、新人研修の需要が高まっていることに加え、2014 年度はマイナンバー制度関連の研修の需要が増加し、市場全体の拡大を牽引している。こうした中で研修施設貸し各社はサービス面の強化に注力し、他社との差別化を図っている。
研修需要が中小企業にも拡大
国内の景気回復に伴い、企業の人材採用意欲が高まっている。厚生労働省が2015年10月に発表した一般職業紹介状況の有効求人倍率の推移を見ると、有効求人倍率は2009年8月に最低の水準にまで落ち込み、それ以降は右肩上がりで上昇している。2015年8月には1.23倍となり、1992年1月(1.25倍)以来、23年7カ月ぶりの高水準となった(図1)。
このデータが示す人材の採用意欲の高まりは、大企業のみならず、中小企業にも及んでいる。採用増に伴う新人研修はあらゆる業種で増加し、研修市場活性化の一端を担っている。
2014年度の研修市場において、注目すべきテーマは「マイナンバー制度」に関する研修だ。前年度まではグローバル人材育成をテーマとした研修の好調ぶりが目立っていたが、ここにきてグローバルをテーマとする研修の成長率が鈍化、代わりにマイナンバー制度に関する研修のニーズが高い。2016年1月から運用が開始されるとあり、企業の人事、総務、システム部門はマイナンバー制度導入の対応に追われ、外部の研修サービスを利用する企業が急増した。