TOPIC1 ICU グローバル・リーダーシップ・スタディズ レポート オープンマインドを育む 「誰もが初心者」のボディー&ソウル研修
東京都三鷹市にある国際基督教大学(ICU)では、毎年夏に社会人対象の次世代リーダー育成プログラム、『グローバル・リーダーシップ・スタディズ(GLS)』を実施している。大学の特色を生かしたプログラムが特徴的だが、中には、日本の伝統文化や特殊なスポーツを体験するクラスもある。その狙いや効果とは。授業の様子を取材し、プログラム責任者に話を聞いた。
大学の体育館に集まる社会人
7月の土曜日の昼下がり。大学の体育館に、Tシャツ・トレパン姿の人たちが次々とやって来た。その数、30人弱。年齢は30代半ばから40代半ば程度、日本人が中心だが、3分の1ほどが外国人である。運動着に身を包んではいるものの、日頃から体を鍛えるアスリートとはまた違うようだ。
国際基督教大学(ICU)では、毎年6月下旬から7月中旬にかけて、『グローバル・リーダーシップ・スタディズ(GLS)』を開催している。
ICUといえばリベラルアーツを教育の核とし、グローバルに活躍できる人材を多く輩出する大学だ。授業は少人数制・参加型が中心で、英語と日本語のバイリンガルで展開される。現在も約3000人の学生たちが、東京ドーム13個分の広さを誇る緑豊かなキャンパスで勉学に励んでいる。
GLSは、大学が夏期休暇になる期間を利用した、社会人を対象とする短期集中型の次世代グローバルリーダー育成プログラム(図1)だ。開催は今回で5回目。期間中は寮に宿泊し、使用可能な言語は英語のみという環境のもと、グローバルリーダーに必要な資質を養う。セッション数は全部で138にのぼる。
体育館に集まったのは、GLSの受講生たち。この日は体を動かす「ボディー&ソウル」というセッションを受けに来た。これから二手に分かれて、合気道と和太鼓を体験するという。
ストレスマネジメントの効果
リーダー育成を目的とした研修プログラムに、スポーツや音楽を取り入れるのはなぜなのか。
「ストレスマネジメントこそリーダーに必要な資質」と語るのは、GLSゼネラルマネジャーの山本智巳氏だ。日本アイ・ビー・エムで執行役員、ベルリッツ・ジャパンの代表取締役会長兼社長を務めた、日本人グローバルリーダーの先駆け的存在である。
「例えば米国のエグゼクティブは、オフタイムにジョギングするなど、スポーツで気分転換する術を身につけています。日頃の業務で頭をフルに使う環境にある中、体を動かし、五感を働かせることで上手く心身のバランスを取っているのです」(山本氏)
実際に、GLSではおよそ3週間、毎日同じ場所で同じメンバーと、難題ともいえる課題に朝から晩まで取り組む。そうした意味では、かなりハードな環境といえる。
ボディー&ソウルのトータルコーディネートに携わるICUの体育講師、高橋伸氏も運動によるレクリエーション効果を体感してほしいと話す。
「受講生たちにとっては、頭ばかりでなく体を動かす時間を持つことが、貴重なリフレッシュの機会となっているようです。体育館に着いた時は眉間にしわを寄せている人たちも、セッションが始まると柔和な表情に変わりますね」(高橋氏)
「戦わずして勝つ」を体感
ここで実際の授業の様子を紹介したい。