CASE 1 資生堂 誰もがキャリアパスを描ける仕組みに 「女性に優しい企業」から 「もっと、ずっと活躍できる企業」へ
女性リーダー比率30%が目前に迫る資生堂。
女性活躍に関する各種のアワードを受賞するなど、先進的な取り組みは注目の的だ。
すでに「育児をしながら仕事が継続できる」というステージは終わり、「男女ともにキャリアアップ」をめざす第3のステージを迎えているという。
同社が進める新たな風土づくりとは。
● 企業風土 「女性活躍」から「男女ともに」へ
『日経ウーマン』(日経BP社)と日経ウーマノミクス・プロジェクトが実施する、「女性が活躍する会社 ベスト100」で、2 年連続で総合1位を獲得した資生堂。内閣府が主催する「第1回女性が輝く先進企業表彰」を受けるなど、女性活躍の取り組みで注目を集め続けている。
2015年4月時点での同社の女性リーダー比率は27%を超え、2016年度中には30%を達成する可能性が高いという。女性社員が約83%(国内資生堂グループ)と高い割合を占めているとはいえ、特筆に値する数字と言えるだろう。
人事部 社員サポート室 イコールパートナーシップ推進グループリーダーの青山幸敏氏は、次のように語る。
「化粧品を買ってくださるお客さまはほとんどが女性。だからこそ、女性社員が、その能力を発揮し、活躍することは会社の成長に不可欠だと考えています」
女性活躍で一歩先を行く同社だが、女性のみに焦点を当てる段階はもはや越え、「男女ともにキャリアアップできる企業・職場」をめざしている。男性だけでなく、女性もまた中長期的な成長を見据え、キャリアパスを描ける企業風土が根づいてきた。
その結果、ロールモデルも増えてきている。
「『あの人のようになりたい』と後進が憧れるような、多様なキャリアを持つロールモデルが多数存在しています。このため、男女ともにゴールとしてめざす姿が描きやすくなっています」
特に近年は、若手を中心に、将来のキャリアに対する意識の高い女性社員も目立つという。
● 変遷 就業継続からキャリアアップへ
しかし、このような風土は一朝一夕に生まれたものではない。かつては、出産や育児を理由に会社を去る女性も少なくなかったという(図1)。