人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第32回 「柘榴坂の仇討」川西玲子氏 時事・映画評論家
「柘榴坂の仇討」
2014年 日本 監督:若松節朗
世界は今、数世紀に一度の歴史的転換期にある。近代日本にとっては明治維新、敗戦に続く3回目の激動期だ。世界の秩序が音を立てて変わっていく中で、日本はどう生きていったらいいか、待ったなしの対応を迫られている。今、日本人は、グローバル化の中で自画像をどう描き直すかという、大問題に直面しているのだ。
『柘榴坂の仇討』は、そういう意味で時宜に適った作品だった。原作は浅田次郎の短編。それを2時間の映画にするには、脚本家に相当な筆力が要る。最近は人気マンガの映画化が多いが、結果だけ世を求める安易な作品作りをしていると脚本家が育たず、既にその弊害が出てきている。人材育成こそ、その産業の要だ。