TOPIC−1 「アトリエMALL」プロジェクトレポート 越境アクションラーニングで得られる学びとは ~若手ビジネスパーソンたちの挑戦 <後編>~
異業種の若手企業人たちがオリジナルの人材育成イベントの開催をめざす「アトリエMALL」プロジェクト。
先月号では2014年にイベントが行われるところまでを時系列にレポートした。
本号では、いよいよ彼ら彼女らにとって、どんな経験が学びとなったのか、その一端を紹介したい。
アトリエMALLのおさらい
「アトリエMALL」は若手企業人が体験を通して学ぶ場を提供したいとの目的で、「さまざまな企業に所属する参加者が会社の枠を『越境』し、人材育成イベントの企画、実施を通して『学びの場づくり』を学ぶ越境型アクションラーニング・プロジェクト」として企画された(主催:一般社団法人 経営学習研究所〈MALL〉、代表理事は東京大学・中原淳氏)。
2014年夏からトータルで5カ月ほどをかけて行われ、参加者は多くの応募者から選考された25歳以上39歳以下のビジネスパーソン13人だ。8月のキックオフミーティング後、2チームに分かれてイベント開催をめざした。
さまざまな困難や危機を乗り越え、両チームとも無事11月下旬にイベントを実施した。イベント名は次の通り。
○Aチーム(チーム名:ほしぐみ)
「“学びの原点”から学ぶ、おとなのためのワークショップ ~『よるのほいくえん』で見つける創造性のカケラ~」
○Bチーム(チーム名:S-park)
「あなたの仕事を旅行に変える~仕事に対する新たな視点をみつけよう!~」
実施前と当日の模様は、小誌2015年4月号74ページに詳しい。
異業種プロジェクトの難しさ
このプロジェクトを進めていく困難さはどこにあったか。企画づくりの初期段階では、過程は異なるものの、両チームとも同様の壁にぶつかった。チームで1つの目的を達成するためには、思いを共有することがカギとなる。ところが、異なる組織に属する、多様なバックグラウンドを持つ初対面の参加者同士が思いを共有するのは容易ではなく、対話に長い時間を費やさなければならなかった。「9時間ぶっ続けで話したこともありました。仕事でもこんなに語り合ったことはありません」(Aチーム参加者)。
また、一人ひとりの思いを大事にするあまり、何をチームのイベントのテーマにするか、なかなか絞り込むことができなかった。