JMAM通信教育優秀企業賞 受賞企業事例報告 日世 細やかな工夫の積み重ねが自ら学ぶ意欲を刺激
日本のNo.1シェアを誇るソフトクリームメーカー、日世では全社員の7割が通信教育を受講している。それには、コース体系図の作成や、会社方針との関連性を訴えるなど、受講者の学びたくなる意欲を刺激する、きめ細やかで独自の工夫があった。
機械から材料まで供給するソフトクリームメーカー
サクサクのコーンカップに、渦巻き状に盛られた冷たいクリーム。今やすっかり日本人の生活に溶け込んだ「ソフトクリーム」だが、正式な英語名は、「ソフトアイスクリーム」。「ソフトクリーム」というのは、実は和製英語だということをご存じだろうか。米国のソフトアイスクリームに「ソフトクリーム」という名前を付け、日本に初めて紹介したのが、日世株式会社(大阪府茨木市)だ。
販売を始めた当初、同社では、コーン、ミックス(クリーム)、フリーザー(液状のミックスをソフトクリームにする機械)を米国から輸入していた。しかし、長時間の船旅でコーンが湿気てしまうことから、1953年、米国企業との技術提携により、コーンの自社製造を開始。その後、1963年にフリーザー、1966年にはミックスの製造を開始、これにより、コーン、ミックス、フリーザーのすべてを自社で製造するソフトクリームメーカーとなった。
業界の先駆者としてシェアも大きく、ミックスは全国シェアの45%、コーンは実に70%を占める。スーパーなどの飲食コーナー、道の駅や高速道路のサービスエリアで、同社のキャラクターであるソフトクリームを抱えた青い目の男の子と女の子を目にしたことがある人は少なくないだろう。日世は、日本のナンバーワンソフトクリームメーカーなのだ。
自己啓発を意識させる工夫で受講率70%を実現
そんな日世が、自己啓発の手段として通信教育を導入したのは1998年のことだ。その経緯について、浅田俊三執行役員・総務部長は語る。
「事業所が全国に散らばっているうえ、販売や製造といった職種ごとに業務内容や繁忙期も異なることから、一堂に会する集合研修はなかなか実施できませんでした。そこで、従業員が各人のペースで取り組むことができ、全国どこでも同じ内容が学べる教育方法として、通信教育を導入することにしたのです」
導入から12年。受講者は年々増加し、自己啓発と会社指定の必須受講講座を合わせた受講率は全社員の約70%に達している(2009年度)。
同社が高い受講率を達成している背景には、次のような工夫がある。