JMAM通信教育優秀企業賞 受賞企業事例報告 メニコン 明確な基準設定で1人ひとりの能力開発を促す
日本のコンタクトレンズメーカーのさきがけとして、多数の製品を世に送り出してきたメニコン。そうした“創造と挑戦”のDNAを育むために生まれた新しい人事・教育制度を支える柱の1つが、通信教育だ。受講基準を5段階に設定することで、会社が重視する能力を示すとともに、従業員1人ひとりの主体的な学習をサポートしている。
現在、メニコンの会長を務める田中恭一氏は、戦後間もない頃、メガネ店勤務の傍ら、独学でコンタクトレンズの開発に乗り出した。
コンタクトレンズに関する知識も情報もない時代、田中氏は、手作業でレンズを削り、自分で使い心地を確かめ、試行錯誤を続けた。作ったレンズを装着して木曽川に飛び込み、水中でも外れないかを確かめるなど、文字通り体当たりの開発を進めた。その結果、1951年、日本初の角膜コンタクトレンズの実用化に成功。その後も田中氏は、コンタクトレンズの開発・普及に尽力し、同社は現在、1000名近い従業員を擁する国内1位のメーカーに成長した。
新人事制度の要は“創造と挑戦”
メニコンでは、こうした創業の精神のもと従業員教育を行い、1987年からは通信教育を導入・活用してきた。創業60年を目前に控えた2008年には、人事制度を大幅に見直すとともに、教育制度も刷新した。その背景には、“将来必要となる人材を育成する”という目的があると、同社の人事部長、樽本尚之氏は語る。
「さまざまな側面でスピードが求められる時代ですが、人を育てるには、時間がかかります。そこで、10年後の会社のあるべき姿を考え、その実現のために必要な人材を育てる仕組みを今からつくっておこうと考えたのです」(樽本氏、以下同)
まず同社では、“求める人材像”を掲げた。それが『創造・挑戦に取り組む人』だ。知識も技術もないところから、創意工夫と努力により日本初のコンタクトレンズを開発した創業の精神に立ち返り、新しい価値を創造し続けることで社会に不可欠な存在になろうとの思いからである。
その実現をめざし、“透明性の高い人事制度”が構築された。