Part5 10年を振り返って 次の10年に引き継ぐべきこと
本特集では、人事・人材開発に関わる方々に、それぞれの立場でこの10年を振り返っていただいた。中でも大きな変化としては、①「グローバル化」が本格的に迫ってきたこと、②バブル崩壊後の一時期、「教育の断絶・偏重」が起きたこと、③職場から「育成の連鎖」が失われてしまったこと、そして④個人と組織の関係が変わり、個人の「やる気」を引き出す施策に重点が置かれてきたことが見えてきた。
①のグローバル化は、外部環境の変化として大きなものである。海外進出を選ぶ企業は、国を超えてビジネスを効率的に行う仕組みづくりを急がなくてはならない。良品計画の松井忠三会長や花田光世・慶應義塾大学教授が指摘するように、そこには労働条件など、従業員の能力を引き出すための仕組みが含まれる。
また、日本企業の人事の一番の反省点はなんといっても、②の「教育の断絶・偏重」を起こしてしまったことだろう。景気低迷期に教育費を削減し、次世代幹部育成に集中。そのことによって「教育を受けない層」をつくってしまった。しかし多くの企業がその過ちに気づき、教育の重要性を再認識した。
③「育成の連鎖」が失われたことと、④個人の「やる気」を引き出す施策への注力だが、これらの背景には、「働きにくさ」を増した日本の職場がある。