企業事例② ヤクルト本社 異文化を理解する「国際塾」で世界に通用する人材を育成
乳酸菌飲料でお馴染みのヤクルト。
日本を代表するグローバル企業の1つであり、世界32の国と地域で事業を展開している。
同社が、社員の国際性を高めるために行っている教育の1つに「国際塾」がある。
同社ではグローバル人材に必要な要件を「異文化を理解してより良い解決策を導くこと」としている。
そんな「世界で通用する力」を養成するための同社の人づくりを紹介する。
創業時からの目標海外への展開
「人類の健康と世界平和のために」。これは、ヤクルトの創始者であり、京都帝国大学(現:京都大学)で微生物を研究していた代田稔氏が掲げた理念だ。この言葉からも読み取れる通り、同社では事業がスタートした戦前から世界を視野に入れて、事業を行ってきた。
2010年に創業75年を迎えた同社は、同年11月現在、実に世界32の国と地域で幅広く事業を展開するグローバル企業の1つとして認知されている。
もちろん、グローバル人材育成にも力を入れている。その1つが、グローバルな感覚を社員に身につけてもらうために実施している「国際塾」という教育プログラムだ。
同社がそうしたグローバル教育に特に力を入れるようになったのは2003年。全社の社員教育を担う「人材開発センター」を設立し、全社的に教育内容を見直した時だったという。
人材開発センター所長の松宮淳氏は、国際塾の開始の背景を次のように話した。
「もともと“海外”と名の付くものは、採用や資材の売り込みに至るまで、国際事業本部に集約されていました。中には人事部や資材調達の部門が応対するべき事案もありました。海外進出が活発になるにつれて、国際事業本部だけでは海外に関する業務に対応しきれなくなってきたのです。そのうえ、海外に派遣される社員と国内の間接部門の社員の両方が、高い国際意識で仕事をできるように育てていくことが求められるようになったというのが、国際塾発足のきっかけです」
海外へ派遣される社員への教育には力を入れている企業が多い中、間接部門の社員に対しても国際感覚を高めるための教育を行うという国際塾とは、どのようなものなのか。次で詳しく見ていきたい。
国際塾での学びの要「異文化理解」
同社がグローバル人材に必要な要件としているのが、異文化を理解してより良い解決策を導ける力を持っているということ。
そうした前提に立ち、国際塾では、AコースとBコースの2つのカリキュラムを用意している。