社労士に聞く“職場あるある”管理職のもやもや解決 第23回 悪い報告をしてくれない社員
円滑な職場運営は管理職の重要任務の1つ。けれども、さまざまな人が集う職場では日々問題が起こります。中には、手を出しにくいデリケートな問題も。
かといって、放っておくと大事に発展することもあります。
どうすべきか、もやもやと悩んでしまう管理職も多いことでしょう。
ここでは、社労士のところによく持ち込まれる管理職の悩みをピックアップ。
人事にも把握しておいてほしい、解決方法を紹介していきます。
今月のお悩み 悪い報告をしてくれない社員
報連相が滞る若手社員がいる。特に悪いことについては、報告しない傾向にある。先日、積もりに積もったミスを見かねて、取引先から、直接こちらにクレームがあった。知らないうちに事態が悪くなっていては、こちらも対処のしようがないため、悪い情報ほど早く報告するように、と言うのだが、あまり改善されない様子である。信用問題にもかかわるため、報告は怠らないようにしっかり改善してほしいのだが、どのように指導すればいいだろうか。
労働法上の位置づけ
まず一般論ですが、労働者が雇用契約上、負うものとして「会社に不当に損害を与えない」という忠実義務があります。将来会社に損害を与える可能性のある情報を、意図的に隠していたのであれば、忠実義務に違反していることになります。また、昨今では就業規則の中に報告義務を記載している企業も多く、その場合には明確な就業規則違反になります。
報告懈怠(かいたい:怠り・放置)が度重なるようであれば何かしらの処分も必要です。例えば始末書等の文書をまとめさせ、本人に「就業規則違反をしたという認識」をさせておいたほうがいいでしょう。