OPINION 日本人派遣者が現地で評価されるには 英語力+コミュニケーション力を改めて考え直す
グローバル競争が激化し、ビジネスパーソンにとって語学力が必須のスキルと言われるようになって久しい。
しかし、実際には今も語学力不足に起因するさまざまな問題が発生し、日本企業の国際競争力を低下させている。
なぜ英語やコミュニケーション力に注力しなければならないのか。
急増する日本人派遣者の問題
2000 年以降、日本国内の経済は発展しなかったが、日本企業の海外直接投資は急増した。特にアジアへの投資はリーマンショック後の落ち込みも少なく、ほぼコンスタントに伸びている。
それに伴って、現地民間企業に勤務する日本人も急増。2000 年当時は約16万人だったが、2012 年の時点で26万人を突破し、10万人も増えている。その中には現地採用の日本人や外資系企業に勤める日本人も含まれているが、多くは日本人派遣者である。
日本人派遣者は、現地法人の経営(トップ・マネジメント)や現地スタッフのマネジメント(部長や課長クラスのミドル・マネジメント)を行うために派遣されているが、「現地で十分にパフォーマンスを発揮できない」「現地スタッフとコミュニケーションがとれない」などの問題が起きていることが、調査で明らかになっている。
これにはさまざまな原因が考えられるが、日本人の「英語を中心とした語学力が不足していること」も大きな理由のひとつと考えられる。
調査を行った研究プロジェクトは、文部科学省「専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラム」のひとつとして2008 年に選定され、2010年まで継続した「海外経営専門職人財養成プログラム早稲田大学コンソシーアム」である。
このプログラムを通して2008年度に中国、2009年度にはASEANとインドを対象に、日本人派遣者調査、日系企業における現地スタッフ調査(上司が日本人派遣者である場合/上司が現地国籍である場合)の計3 種の調査を実施した。調査内容は日本人グローバル・マネジャーの特徴、ローカル・スタッフからの評価などで、調査対象は日本人派遣者880人、現地スタッフ2192人に及んだ。
派遣者に必要なコンピテンシー
本研究では経団連が提示したコンピテンシーリストを用い、海外赴任者が62 項目について自分にどの程度当てはまるかを回答。そこから海外赴任に求められるコンピテンシーとして4つの因子を抽出した。
①経営手腕
②PM(パフォーマンス・メンテナンス)リーダーシップ
③行動の柔軟性