おわりに 働きがいを生み出すキーワード ~「ゆとり」「一体感」「個別対応」
働きがいは、仕事の“ 中” だけでなく“外”にもある――。
時代と共に変化する一人ひとりの働きがいに、企業、人事はどう対応すべきだろうか。
ポイントをまとめた。
企業と個人がWin・Winの関係を築くためのカギが「働きがい」だ。高度経済成長期と違い、昇給も難しい時代、優れた人材を確保し、質の高い仕事をしてもらうためには、従来通りの雇用環境を整えるだけでは事足りない。「働きがい」があればこそ、個人はその会社に対するロイヤルティや、よりよい仕事をしようという意欲を持つ。OPINION1守島基博氏(P.28)が指摘するように、一人ひとりが望む働きがいの実現は、企業にとって福利ではなく、“投資”にほかならない。
ただ、時代と共に働きがいは変化し、多様化が進んでいる。その実情と対策を取材した。
働きがいはどう変わったのか。守島氏は「仕事を中心とした働きがい」が提供しにくい時代になった、と説明する。ビジネスを取り巻く環境が厳しくなり、リスクのある面白い仕事やチャレンジングな仕事がしづらくなった。さらに、プライベートな時間を大切にしたいと考えるビジネスパーソンが増えた。家族のための時間。趣味を楽しむ時間。それぞれ、やりたいことや大切にしていることがある。
そこでキーワードとなるのが、ワークライフバランスだ。個人の価値観や事情に合わせ、時間的に「ゆとり」を持って働ける環境を整えなくてはならない。とはいえ、ゆとりを取り入れることによって、生産性は低下しないのだろうか。
OPINION2宮原淳二氏(P.32)は東京大学 先端科学技術研究センター西成活裕教授の研究を紹介し、明確な目的を定めたうえでゆとりを取り入れれば、短期的には不利益が生じたとしても、将来はプラス効果が生まれる、と説く。