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分析テーマは「人材力の最大発揮に向けて」「平成26年版労働経済の分析」を公表
●厚生労働省
厚生労働省は、平成26 年9 月12 日の閣議で「平成26 年版労働経済の分析」(通称「労働経済白書」)を報告し、公表した。「労働経済白書」は、雇用、賃金、労働時間、勤労者家計などの現状や課題について、統計データを活用して経済学的に分析する報告書で、今回で66 回目。
平成26 年版は、『人材力の最大発揮に向けて』をサブタイトルとし、労働者を育成し、就労意欲を引き出すことにより、企業の成長へつなげていく人材マネジメントについて分析。職業経験を通じた人的資本の蓄積により、職業能力をさらに高め、安定した生活を送れるよう、職業生涯を通じたキャリア形成に関して分析を行った。以下は、分析の要点をまとめたものの抜粋である。
●企業は、人材育成を企業経営の上で重要な課題と考えている。その多くが内部労働市場を重視して正規雇用労働者の人材マネジメントを行うと共に、多様な人材を活用している。中でも正規雇用労働者の若年層に対しては計画的・系統的なOJT、中堅層には多様な人事異動などを中心に行い、企業内でのキャリア形成が図られている。
●管理職の育成・登用方針としては、内部育成・昇進を重視。内部育成重視型の企業のほうが外部調達重視型の企業より人材育成に取り組む企業の割合が高く、管理職候補を計画的に育成することの難しさがうかがえる。
また人材育成の課題として、特に業務多忙で育成する余裕がない、育成する側の能力・指導意識が不足しているなどが挙げられている。人材育成をより効果的・効率的に行うため、上司の育成能力や指導意識の向上を必要とする企業が多い。
●正規雇用労働者に比べ、非正規雇用労働者への能力開発機会は乏しい。企業の人材活用が多様化し、非正規雇用労働者が増加する中、意欲と能力に応じて正規雇用労働者へ転換するなど、活躍の機会が積極的に広がることが期待される。
●人材マネジメントの目的は、長期的に企業の競争力を維持・強化していくために、人員配置・教育訓練などの雇用管理、就業条件管理や報酬管理を通じて、働く意欲を喚起し、その能力を最大限発揮させることである。そのためには人材を適材適所で活用し、職場内外での教育訓練で人的資本の蓄積を図り、働く意欲を引き出すマネジメントの仕組みが重要である。
さらに、経営戦略を理解し、具体的に計画を行動に移すことができ、知識・経験・スキルを後進に伝えられるような、企業成長の要となる中核的人材育成には、戦略的なキャリア設計が求められる。