特別レポート 「グローバル」「女性」テーマの研修が好調 施設貸し各社は独自色の強化に注力
企業向け研修サービス市場は、震災からの回復という段階を抜け、緩やかな成長の段階にシフトしてきている。市場を牽引する研修のキーワードは「グローバル」と「女性」だ。そうした中で、研修施設・貸し会議室などを提供する研修施設貸し各社は、設備の充実に代表されるハード面はもちろん、サービスの質を高めるソフト面の充実に注力し、他社との差別化を図っている。今回、研修サービス市場の最新動向についてレポートする。
市場は緩やかな成長段階へ
国内景気の回復を受け、大手企業の多くは業績が改善し、人材投資意欲が回復してきている。特に2013年度後半より、階層別のマネジメント研修、動機づけといった人材のモチベーション関連研修、IT関連の研修などが好調だ。
そうした中で、特に注目すべきは「グローバル人材育成」関連の研修と、「女性」テーマの研修が活況を呈していること。グローバル人材育成は、ビジネス英語を中心とする語学研修、MBA関連、海外に人材を派遣する高額な研修などが軒並み好調。また、マネジメント研修、実践・体験型のマインド(発想力、思考力など)に関する研修においてもグローバルをテーマにしたものが増え、「グローバル人材育成」が研修サービス市場全体の底上げをしている状況。
また、政府の成長戦略として女性の活躍が明確に打ち出されたこともあって、女性管理職育成、女性社員の採用・活用、ワークライフバランス、産休・育休中のスキルアップなど、「女性」をテーマにした研修需要が拡大している。
矢野経済研究所が実施した「企業向け研修サービス市場に関する調査結果2014」によると、2013年度の企業向け研修サービス市場の総市場規模は4790億円(前年度比2.6%増、事業者売上高ベース)となった。この数値は、研修サービス市場をも直撃した東日本大震災のショックから脱却し、緩やかな成長の段階にシフトしたことを示している。