連載 人事の職場拝見! Vol.15 日立ソリューションズ “育成”ではなく“成長支援” 自律型人財の生涯の成長を支える
システムインテグレーション事業を展開する日立ソリューションズ。IT 業界を取り巻く激しい環境変化、グローバル化の進展にあって、自らの専門性を高め、付加価値を提供できる人財の育成が急務となっている。そのためのキーワードは「個の自律」。同社の人財開発部を訪問した。
会社頼みではない個の自律を高める取り組み
2010年の合併により誕生した、日立ソリューションズ。人こそが「資本」であるとし、社員の行動指針として6項目を定めている。特に現在注力しているのが、「高い専門性を活かして、期待を超える価値を創出する」こと。同社の人財開発部部長 石川拓夫氏は次のように話す。「 当社では9割の社員が専門職です。従来から専門性を高める育成のフレームワークを用意してきましたが、これまではどうしても会社頼みになる傾向がありました。しかし今必要なのは、お客様に付加価値を提供することができる人財です。そのために私たちは、個の自律を高める取り組みを行っていくことが役割だと考えています」(石川氏、以下同)
実態に合ったキャリアパスの提示
同社では、独自の人財育成施策として、HCM(Human CapitalManagement)制度を設けており、多方面から個の自律を促進している。最初のステップは、目標となるキャリアパスを提示することだ。「社員が自ら方向性を考えるためのキャリアパスは、実際の仕事に合ったものである必要があります。そこで各部門と一緒に、求められる人財像の要素の入れ替えや追加をしながら、常に実態に合った目標を提示できるよう施策を講じています」
また、「キャリア自律が重要だ」というだけでは職場には浸透しない。そこで部門・個人両方に対するアプローチをとっている。「部門へは、マネジャーに対して、マネジャー教育等でキャリア自律の重要性を訴えるとともに、アセスメントツールで見える化された職場データを活用した、部下のキャリア支援方法等を伝えています。
また個人に対しては、新人、入社3年目、30歳、40歳、50歳という節目にキャリア研修を実施して、自分のキャリアとじっくり向かい合う時間を提供しています」