連載 酒井穣のちょっぴり経営学 第15回 企業活動を支える営業のサイエンス
営業力の強化は、人材育成の中でもメインのテーマといっても過言ではなく、「経営(学)」としても中心に添えられるべきものである。しかし、営業の背景は企業や業種によって異なり、「これさえやればいい!」というものでもない。では、どうすればよいのか。教育の着眼点を紹介する。
人材育成担当者として、最もその存在意義を示しやすいのが「営業力の強化」でしょう。研修や人材開発プログラムを導入して、結果として売上が高まるということ以上に、教育効果を主張できるシーンはありません。しかし、ひとくちに営業といってもその内容は多岐にわたり、「これさえ押さえておけばOK」といった理論も存在しないのが実情です。
そこで頼りになるのが、いくら営業の背景が異なっていても、いかなる会社においても売れている、売れていないという「結果」ではなくて、なぜ売れているのか、なぜ売れていないのかといった「原因」を把握することが重要だという考え方です。今回は、そうした「原因」を発見する時の着眼点を紹介します。
着眼点1:営業担当者の時間分析
使っているのか」を理解することが、そもそもの原点です。そこに問題があれば「時間の使い方」について「あるべき姿」を設定しつつ、その普及と実現に努めれば、それなりに成果が出るのは明らかでしょう。
ここで「あるべき姿」は、企業によって異なるのが当然です。とにかくテレアポをしまくることが結果につながるケースもあれば、営業マニュアルの精緻化が結果につながるケースもあるでしょう。そんな中で、自社の「あるべき姿」を導き出す一番簡単な方法は、トップの成績をたたき出す営業担当者が、どのような時間の使い方をしているのかを知ることです。
あくまでも一般論としてですが、新規顧客の獲得のために時間を使っている営業担当者のほうが、中・長期的には優秀な成績を出しやすいといわれます。その理由は、新規顧客獲得の営業は、既存顧客への営業よりも難易度が高いからです。難しいことにトライしていると、営業としてのスキルが高まりやすいというわけです
着眼点2:パイプライン分析
次は「パイプライン分析」です。営業活動とは、潜在顧客を、実際に購入してくれる顧客に変えていくための一連の活動のことですが、これには、企業によって異なるさまざまなステップが考えられると思います。大まかに表現すれば、