企業事例① 日立製作所 グループ横断SNSでWEBとリアルの学びを活性化
2006年頃から導入され、盛り上がりを見せているグループ横断SNSがある。日立グループの『COMOREVY』だ。グループ全体で活用し、情報共有だけでなく、社員同士の自発的な学びに寄与している。グループ横断SNSではどんな学びが起こるのか。また、知と学びの共有を行ううえで、企業側は何を考えるべきなのか。同グループの事例に学ぶ。
200社、2万人をつなぐ巨大SNS
連結従業員数36万1745名、連結子会社数914 社の規模を誇る、日本最大級の総合電機メーカー日立グループ。同グループでは、2006年からSNSを導入してきた。2011年8月現在、登録ユーザー数は約2万人、1日の書き込み数は約3000 件にも上る。
同社のIT 戦略本部枝松利幸氏は、早期からSNS の導入に踏み切った経緯を次のように説明する。「当社がSNSを導入したのは、2006年に、当グループの日立総合計画研究所でSNSを実験的に開始したことに始まります。日立グループ各社には、多種多様な事業体が存在しています。それらを組み合わせていくことで、当グループならではのさらなる技術力向上を図ることができる。しかもIT を活用することで、よりスピード感を持って、会社を超えた情報共有を実行できるのではないかとの考えから導入に着手しました」(枝松氏、以下同)
同グループの社内SNSは『COMOREVY(こもれび)』というもの。今や、日立製作所を象徴する存在としてCMでもおなじみの木からイメージした“木漏れ日”と、“「COMMON」(共有の)+「REVUE」(意見・批評)”を掛け合わせて命名。同SNS 内で投票によって決定した。「日立グループには、もともと互いに協力し合って創造するという『協創意識』という考え方があります。協創するためには、コミュニケーションが不可欠です。グループ内には、優れた知識・技術を持っている人がいます。ところが、いくら同じグループといっても普通に仕事をしているだけでは会社を超えた出会いが広がりにくい……。36 万人の総合力を活かした協創を実現し、さらなる収益増につなげるためにSNSは適したツールです。当グループでは、事業体を超えた情報共有の道具として位置づけています」
知の共有化を加速させる「応えて、こもれびー」
『COMOREVY』は、現在、日立製作所のIT 部門のメンバー十数名が兼任で管理・運営。書き込まれた内容には、なんと全てサポートセンターが目を通しているという。