Opinion③ ディズニー社の例に見る顧客満足を向上するソーシャルラーニング戦略
会社を超えて、広く社会から学ぶことができるソーシャルラーニング。この「社会」には、当然ながら「顧客」も含まれる。Facebookが生まれた米国では、企業でも先進事例が出てきているが、米国のラーニング事情に詳しい、きよみ・ハッチングス氏が、中でも成功事例であるディズニーの、「顧客とともに学ぶソーシャルラーニング」について解説する。
2011年12月、フォーブズオンライン誌は、Facebookのユーザー数が8億人にも上り、5億人が毎日ログインしているという数字を発表した。このようなユーザーの増加に対応し、欧米の企業は盛んにソーシャルメディアを自社のウェブサイトに導入し始めたが、トレンド的に導入したため失敗した事例も多い。
しかし、そんな中でディズニー社は、早くからソーシャルメディアをカスタマーサービス(CS)の向上に利用し、2011年度には『ビジネス・ツー・コミュニティー』誌とeラーニング専門誌の『ツリバンテス』誌より、「企業業績に即貢献するソーシャルラーニング」で高い評価を得た。好例として見てみよう。
カスタマーニーズの変化と企業内教育
同社には、ディズニーランドのようなテーマパーク、クルーズ、ホテルといくつもの「ディズニーブランド」があるが、創立以来何よりも大事にしているのが「ああ、楽しかった」というカスタマーの声である。この声を聞くために、同社は2つの方法で従業員教育に取り組んでいる。
1つは、25年前から行われている「ディズニー・インスティチュート」による従来の企業内教育。もう1つはオンラインカスタマーの増加に対応した新しい教育方法で、「オンライン上でのカスタマーとのソーシャルラーニング」である。
同社の米国のサイトに来るカスタマーは、ほとんどが子どもとその親達(母親が多い)だが、Facebookユーザーが多く、おしゃべり好きで、Facebookの“友達”からいろんな情報を得ている。知識が豊富で買い物上手だが、問題に即対応してくれないと怒る、という特徴を持つ。
Facebookユーザー1人には、平均で100人の“友達”がいるといわれるが、そうしてオンライン上で毎日いろんな話をしているカスタマーのニーズは瞬時に変化している。そのため、同社の教育関係者は、同社が誇る「質の高いCS」を実践するには、従来の企業内教育だけでは内容的にもスピードにおいても十分でないことに気づいたのである。