Opinion① 情報マネジメント力を向上させるソーシャル・モバイルな学び
ソーシャルメディア、スマートメディアの隆盛は、企業の人づくりにどのような影響があるのか、そして企業はそれらをどう人づくりに役立てていくべきなのか。特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアムで会長を務め、企業内教育においても30年以上の経験を持つ小松秀圀氏に聞いた。
スマートフォンの急増で加速するSNSの活用
近年のスマートフォン普及台数増加は、目を見張るものがある。特に今年2012年は、スマートフォン契約者数の急増が見込まれる年といわれている。今やアナログ回線を使ったDSL、CATVなどの“固定系”よりも、モバイル系ブロードバンドアクセスのほうが契約数も多い。これは、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末を活用する環境が整いつつあることを意味する。
これらモバイル端末には、ソーシャルメディアとの相性が抜群に良いという特徴がある。そのため、これらの端末の爆発的普及は、ソーシャルメディアが私たちの生活やビジネスに一層浸透していくことを表す。
そして、このモバイル端末やソーシャルメディアの隆盛は、企業内教育にも大きな影響をもたらす。その事象に考えられるのが、いつでもどこでも、という利便性を活かして、今までパソコンを使わないので導入が難しかった職種にもeラーニングによる教育が可能になること。また、業務に直結した情報共有が円滑に行われるようになるといったことである。
某航空会社では、すでにモバイル端末の利便性に着目し、全客室乗務員にiPadを配布。マニュアルを入れて活用しているという。
業務に関する情報や知恵を、SNSを使ってリアルタイムで共有することができるということは、仕事の仕方なども共有されるということであり、これはすでに教育といえる。
Web(クラウド)上で自由にデータのやり取りができるのもソーシャルメディアの良さだ。しかもそのセキュリティは、専門家集団によって構築されているため、企業の独自の対策の域をはるかに超える。
ソーシャルラーニングとは何か――TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを(時にモバイル端末から)活用し、情報を集めたり、世界へ発信したりする。そして社員個々人が情報ソースをコントロールしながら、情報を使いこなして学びにつなげる。そうした行為こそがまさしく「ソーシャルラーニング」「モバイルラーニング」である。企業は、こうした潮流に早く気がつき、活用の環境を整えるための対策を講じる決断を迫られているといえる。
これからの学びと“非構造化情報”
ソーシャルラーニングを企業内の教育に採用することで、学びはどのように変わるのか。私は、これまで以上に業務に直結する学びに変容していくのではないかと考えている。