巻頭インタビュー 私の人材教育論 コニカミノルタホールディングス 代表執行役社長松﨑正年 自社独自の強みを活かし成長の機会を確実に成果につなげる
複合機・プリンターなどの情報機器事業、液晶用光学フィルムなどのオプト事業、ヘルスケア事業、そして計測機器事業――。
「材料」「光学」「微細加工」「画像」という4つのコア技術を融合させたものづくりを展開してきたコニカミノルタグループ。
「Giving Shape to Ideas」を合言葉に、今後さらにワールドワイドにシナジー効果を生み出していくことをめざす同社の組織・人づくりの戦略や実践について代表執行役社長 松﨑正年氏に聞いた。
“ジャンルトップ”で果敢に攻めていく
――堅実な経営スタイルを取ると報道されてきた貴社ですが、2011年5月に発表された中期経営計画「Gプラン2013」では「Growth(成長)」をキーワードとされ、成長の実現・規模の拡大、「真のグローバル企業」への進化、「コニカミノルタ」ブランドの認知度向上、の3点を基本方針とされています。こうした背景のもと、貴グループの人づくりについては、どのような方針や思いをお持ちでしょうか。
松﨑
コニカミノルタグループ全社での共通目標は「ジャンルトップ」になることです。
前社長時代から、成長が期待できる事業領域・市場に経営資源を集中させ、その中でトップポジションを確立する“ジャンルトップ戦略”を掲げてきました。
すでに情報機器事業のプロダクションプリント(デジタル印刷)分野においては、カラー出力機を中心に好調な販売が続き、欧州ではシェアトップを獲得し、北米地域ではトップ争いを展開しています。
全事業領域での規模の拡大は難しくても、ここと見定めたジャンルにおいてはトップをめざし、最大限に利益を拡大していく。「ジャンルトップ」という言葉が、それだけ浸透してきた結果ではないかと思っています。
――集中すべきと見定めたところで、果敢にトップをめざしていく、ということですね。
2003年、コニカとミノルタの統合で、2つの企業文化が1つになったわけですが、その頃から果敢に挑戦していく企業風土ができてきたのでしょうか。
松﨑
それが、そうでもないんです。というのも、当社の印象について、外部の方にお聞きすると「良くも悪くも上品ですね」とおっしゃる。品位がある、礼儀正しい、人の足を引っ張ってまで自分が勝ち残ろうとしない――そんなところがあるようですね。
人と張り合わない、というより、“親しみやすい”というのでしょう。これは海外の企業とパートナーシップを組む際、有効にはたらく点です。「一般的に日本人はどうもクローズドなところがあってやりにくい。しかし、コニカミノルタさんは、守るべき点は守るものの、概してオープンですね」といわれます。こうしたところはもちろん、当社のいいところです。
鳥に例えれば、上品なイメージの「ツル」といったところでしょうか。もちろんコンプライアンスや倫理観は重要ですから、そこは今後も守るものの、この先ずっとツルでは生き残れません。嵐の中でも、餌がなくても生き抜いていくカラスになり、スズメにならなくては。
ですから、常々こういっているんです。「負けたら悔しいと思わにゃいかん」と。「負けても仕方ない」はコニカミノルタでは通用しない。
――あくまで強いメンバーでジャンルトップをめざすと。
松﨑
そうです。グループ全体でいえば、うちは持株会社制ですから、プラグイン・プラグアウトがやりやすいんですね。どういうことかといえば、強くて流動的なインターフェースを作ることが可能だ、ということです。
ですから、グループ全体の成長に必要と思えば、どんどん新しい事業領域を持つ会社をグループ内に組み入れていく。だが、その後、事業性や市場性がないと判断した時は、場合によっては退場してもらうこともありうる。コニカミノルタにとどまるためには、それなりのパフォーマンスを示してほしいということです。