TOPIC ② 日本能率協会主催『“組織開発”フォーラム2012』レポート チーム・組織の能力を引き出し企業の持続的成果を実現するヒント
去る、2012年3月13日・14日の2日間にわたり、日本能率協会主催の『“組織開発”フォーラム2012』が世界貿易センタービル(東京都港区浜松町)にて開催された。同フォーラムは、“組織開発”という切り口で、組織の能力を最大限に活かし、拡大する取り組みに関する学びと交流の場となることをめざし、開催されたもの。本稿では、同フォーラムの1日目の主だった講演とパネル討議を、ダイジェストで紹介する。
*慶應義塾大学大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール教授の髙木晴夫氏の講演「日本企業の組織力 ハイブリッド型組織への挑戦」は本誌5月号の特集opinion1の髙木氏のインタビューを参照。
組織力を発揮するための“組織開発”を模索する
今回、初の開催となる『“組織開発”フォーラム2012』は、“組織開発”をテーマに、香川大学大学院地域マネジメント研究科の八木陽一郎教授や慶應義塾大学大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール髙木晴夫教授ら、識者による講演、そして第一線で組織開発に携わる企業を代表して、日産自動車、日本オラクルからゲストスピーカーを招き、組織開発の現状・課題、そしてこれからのあるべき姿を模索するというもの。
同フォーラムは、講演の聴講にとどまらず、聴講者が講演者に直接質問できる時間をたっぷりと確保したパネル討議、そして聴講者同士が問題意識や意見を、付箋に書き出しながら発表する、いわゆるワイガヤによって共有するといった、双方向でのコミュニケーションをとることができる場が設けられた。
はじめに、主催者である日本能率協会を代表して理事の柴野睦裕氏から、以下のような内容の開催の挨拶と趣旨説明があった。「今、組織の能力が問われる時期にあります。激しく変化する経営環境、グローバル市場において競争優位を保つためには、個々の能力発揮だけでなく、多様な人材が結束して、自立性の高い組織としての能力をいかに最大限に活かしていくかが重要です。多くの企業が、組織開発にまつわるさまざまな施策を行っている一方で、効果の手応えを感じている組織はわずかだといいます。
多くの企業が組織開発に注目をしながらも、現在も取り組みの模索を続けているという現状から、“組織開発”の切り口で組織の能力を最大限に生かし拡大する取り組みに関する学びと交流の場として、本フォーラムを開催いたしました。ぜひ有意義に本フォーラムをご活用いただき、この問題を人事問題にとどめることなく、経営問題として扱っていただきたいと思います」
【問題提起】組織の未来と組織開発
八木陽一郎氏
香川大学大学院
地域マネジメント研究科 教授
情報伝達コスト低下が組織のあり方を変化させる
同フォーラムは、まず八木氏による問題提起からスタート。「組織行動論」と「組織開発」を専門とする八木氏は、これまで行ってきた『内省と対話による組織変革』の研究をベースに、組織開発について論じた。
八木氏は、今、企業が直面している課題の多くは、過去とは大きく異なる解決方法が求められるものだと指摘。その大きな原因の一つとして、情報化の進展を挙げた。「情報化社会は、組織のあり方を大きく変えました。そこには、可能性も制約も存在しています。それらを踏まえ、組織開発について考えていきたいと思います」
八木氏は、組織のあり方の変化として、①企業間・グループ企業内の分業化が促進された点、②ピラミッド型の高階層組織からフラットな低階層組織への変化、③そしてそれに伴い一極集中されていた情報と権力の分散化が起きていることを指摘。これらの変化の背景にある要因として、情報伝達コストの低下を挙げた。「文書を送る場合の所要時間とコストが時代によってどれだけ変化したかをアメリカのニューヨーク‐シカゴ間の文書の郵送を例に見てみましょう。鉄道が開通される以前の1840年代には、11日間、100ドル必要だったものが、鉄道が開通した1850年代には2日半、85ドルまで縮小。電子メールが発達した現在、ほぼ0時間、それもほぼ0ドルにまでコストが低下していきました」
先に述べたような①~③の組織のあり方の変化は、以前よりも大量の情報伝達が可能になるという前提のうえに成り立つ変化だと八木氏はいう。情報伝達コストの低下が、組織構造を大きく変化させることを可能にしたといっても過言ではない。
組織形態はネットワーク型へ
情報が俊敏にやり取りできなかった時代の組織形態は、ピラミッド型が主流であった。情報系統は、トップに集中され、一人ひとりの情報処理の負荷は少なくて済んだ。ところが、情報伝達のコストダウンが可能になると、情報を全体に分散させ、末端レベルの社員に至るまで組織内の全ての人が情報でつながることが可能となった(図表1)。
これによって、情報伝達は歴史上類を見ないほどのスピード感をもって行うことが可能になり、問題と解が即座にマッチする可能性が飛躍的に上昇。さらに、問題解決に必要な多様な視点の導入、アイデアを融合してより良いアイデアを生む創造性の発揮、などのメリットが見られるようになった。
しかしここで、八木氏は疑問を投げかける。
「実際問題、どれほどの企業がネットワーク型の恩恵を活かし、自由や創造性、モチベーションといった人間的恩恵を享受しつつ組織力を高めているのでしょうか。たとえば、会社からモバイルツールを支給され、モバイルワーカーが増えると、いつでもどこでも仕事ができるというメリットがある反面、社員同士が顔を合わせない、メールなどでは伝達し切れないようなインフォーマルな情報の共有不足など、人と人とのリアルなつながりが減り、さまざまな“副作用”のような問題が発生しているのではないでしょうか。そうした現状を踏まえ、組織開発は何を扱うべきかを考えていきたいと思います」
組織開発で扱うべきは目に見えない深いレベル
かつてないほどの大きな変化が起きている今、組織開発によって扱うべきは何か。その答えを八木氏は、「企業文化の持続性と可視性」という観点から解説した。「たとえば、企業文化(価値や規範)は、目に見えないものですが、文化として根づくまでには時間がかかりますし、その組織内に持続して受け継がれていくもの。簡単に他社が模倣できないものです。ところが、目に見える製品やサービスは、他社が追随しやすい部分。要するに可視性が高い部分は変えやすく、可視性が低い部分は変えにくい。見えにくいがゆえに模倣は困難であり、競争優 位につなげやすいといえるのです」
しかし、八木氏は企業文化を競争優位の源泉としている企業であっても、時には変える必要があると話す。「組織固有の力=企業文化は見えにくく、変えにくいものですが、一度は成功した文化でも、事業環境の変化によって足枷となることも考えられます。組織開発のキーワードの1つとして、変えにくいものほど、実は重要な意味があるということを、企業は意識する必要があるのです」
深い変革を可能にする内省と対話
では、企業文化といった可視性の低い部分を変革する、“深い変革”を実施するにはどうすればよいか。#REF!
八木氏は、「内省と対話」が重要なカギを握っていると話す。「内省というのは、自分自身を見つめることで、個人の価値観を明確にするというものです。個人が自分の価値観を明確にしている場合、そうでない人に比べて組織コミットメントが高まるということが科学的に実証されています」
では、もう一つのカギとなる対話によって期待できる効果とは何か。それは、内省によって明確になった個々人の価値観をお互いに受け止め合い、大切にしたい価値観の共通項を見つけ出すというということだ。「内省で明確になったことを、対話を通じて組織と個人で相似している部分がないか探し出す。シダの葉は、葉の細かな一部分と全体がほぼ同じ形をしています。こうした構造をフラクタルといいますが、このフラクタル性を内省と対話を重ねることで組織と個人の間に浮かび上がらせることができると考えています。それを見い出すための具体策が内省と対話だというのが、私の持論です」
八木氏のいう内省と対話で人と組織のフラクタル性を見つけ出した事例がある。それが、高松市の取り組みだ。これは、市民と市職員が内省と対話を行い、お互いの価値観をシェアしたというもの。
付箋に個々人が内省した結果を書き出し、模造紙にそれらを貼りながら対話を重ねるうちに、市民と市職員の間にあるフラクタル性=高松市を良い街にしたいという共感し合える部分を見出すことができた。「フラクタル性が可視化されると、お互いの存在を受容しやすくなって一体感が生まれ、新しいアイデアも組織の隅々まで浸透させやすくなります。コミュニケーションのプラットフォームができるからです」そして最後に、八木氏は次のような言葉で締めくくった。「今、企業を取り巻いている変化は、小手先で対応できるものではありません。多くの企業が見えにくく、持続性が高い部分の変化にまで着手できていないのが実情ではないでしょうか。内省と対話が可視性の低い部分を見える化し、変革につなげるカギになります」
【企業事例講演&パネル討議】現役担当者が語る組織開発の“今”
●講演
清原正治氏
日産自動車 組織開発部 本部長
赤津恵美子氏
日本オラクル
人材組織開発部 シニアディレクター
●パネル討議司会進行
八木陽一郎氏
香川大学大学院
地域マネジメント研究科 教授
人材開発に力を注ぐ企業が多く存在する一方で、“組織開発”という切り口で具体的な取り組みを実施している企業は、日本企業ではまだそう多くない。
組織開発という名称の部門を置き、“組織開発”に専門的に取り組んでいる企業は、グローバル企業や外資系企業に多いというのが現状だ。
現在、組織開発に力を注いでいる企業を代表して、日産自動車の清原正治氏、日本オラクルの赤津恵美子氏の両氏から、組織開発の具体的な取り組み内容とその効果等について、説明がなされた。
グローバル化への転換を助けた3つの手法~日産自動車の事例~
1999年以降、グローバル企業として急激な方向転換を迫られた日産自動車。それまではいわゆる“典型的な日本企業”だった同社だが、大幅な方向転換を迫られて10年以上を経た今、本社の経営層の約4割が非日本人で構成されるほどのグローバル企業へと大変革した。
グローバル化の急進で明るみになった同社の組織内の問題点が、①部門間の壁、②経営・社員間の壁、③顧客との壁だったと清原氏はいう。「事業のグローバル化によって見えてきたこの3つの壁をいかに崩すかが、2000年代前半の当社の課題でした。ですがこれまで積み重ねてきた文化を一足飛びにリセットするわけにはいきません。既存組織としての根幹の部分は認めながらも、改善すべき部分は改善する。それでも改善できない部分は非組織的なアプローチを併用することで、カバーしていきました」
そこで同社が講じた非組織的手法というのが、①組織ではないチームに権限を与える、②共有ツールの浸透によって横串を入れる、③組織の能力外領域の対処の3つ。
具体的には、V-upと呼ばれるシックスシグマの手法を日本の製造業向けに最適化したもの、そして、同社の代名詞的な取り組みクロス・ファンクショナル・チーム(CFT)、もう一つが社内経営コンサルタントだ。「日本的雇用形態が一般的だった時代には、自分の職場を真面目に改善していくことが良しとされ、自分の所属部門への帰属意識が高い傾向にありました。しかし一方で自分の組織で行っていることこそが最も正しいという思いが強くなることもありました。V-upは組織視点ではなくプロセス視点でチームの意思決定の手法、手順、結果測定を標準化されており、組織側が方法に合わせることになるのです」
このV-upの導入は、組織を超えたプロジェクトが容易にできる、各部門独自の論理や解釈を防止するなどのメリットがある。V-upの共有が、組織を超えたチーム編成を可能にしているのだ。
そしてCFTでは、全社各部門から選抜した8つのチームを編成。通常業務を行いながら、既存の仕事や経営にまつわる課題を解決する方法を模索していくのだ。「CFTで取り組んだ内容は、年3回COOに提案します。8チームが年に3回提案するため、1年に24もの提案が上がることになる計算です。CFTによって、既存組織の活動や経営の健康診断ができるというメリットがある他、正規の組織では見えないものを浮き彫りにする、経営視点で物事を見るトレーニングになるなどの効果があるのです」
そして3つめの社内経営コンサルタントは、経営コンサルタントとして活躍している人材を他社から採用し、組織開発に役立てるというものだ。部門が独自にクリアできない企画を社内経営コンサルタントが請け負う他、外部コンサルタントを活用する際には、監督役をこなすこともあるという。「社内コンサルタントを活用したことで、社内に経験が蓄積されるといった効果がありました。担当部門がめったに経験しないような大規模な事案も、社中に経験として蓄積されていくのです」
多くの企業のお手本のような取り組みを多数行っている日産自動車だが、次なる組織開発のステップをどう捉えているのだろうか。「これからの課題は新興国対応です。日本国内で成功したこれらの取り組みが、必ずしも他国でもマッチするとは限りません。それに、日本国内よりもスピードへの要求がシビア。V-upのようなじっくりと分析しなければ解が出ないようなツールでは適用範囲が限られる可能性があります。そして国内で成功を収めたCFTも10年目を迎えた今、今のままの形で継続するか否かも含め、見直しを迫られる時期に来ています。非組織活動も継続し続けることで硬直化の弊害も生まれる面があります。成功体験を捨て、次のステップに進むというのが当社の組織開発の課題なのかもしれません」
組織力最大化へのチャレンジ~日本オラクルの事例~
全世界の社員数10万人を誇るオラクルは、IT業界ならではのスピード感、イノベーションを、 M&Aも交えながら促進させてきた。
日本オラクルの赤津氏は、自社が置かれている外部環境について次のように説明する。「IT業界は製品のライフサイクルが非常に短い世界です。そのため、スピードやイノベーションが企業存続の命。世界のベストプラクティスをいち早く現場に届けることを重視しています。当社では、パフォーマンスを最大化するための人事施策を、『事業の成長』『効率的な管理』の2つの視点から実施しています」
同社の人事施策として行われている『事業の成長』とは、主に、優秀人材の採用、適材適所の実現、グローバルリーダーの育成を指す。これらの施策の中核となるのが、毎年実施しているというタレントマネジメントだ。「横軸にパフォーマンス、縦軸にポテンシャルを配置した表でマッピングしていきます。パフォーマンスとポテンシャルの両方が高ければキー(トップ)タレントとなります(図表2)」
いずれかのブロックに分類し、現状確認を行った後には、人材強化のための対策を実行していく。「キー(トップ)タレントは企業の成長のために重要な存在です。彼・彼女たちにはさらなるチャレンジを与え、さらに力をつけ、会社の成長を牽引してもらう必要があります。そのために、どんな仕事を経験してもらい、どんな研修に参加してもらうか、処遇は十分かなどについて多面的に見直し、実行プランを策定します」
もう一つのグローバルリーダーの育成では、日本国内、アジア太平洋地域、全世界という3段階でプログラムを実施している。
日本国内のものは、現リーダーを対象とした(ETTP)と、次世代リーダーを対象にした(ATTP)の2つのプログラムを用意。いずれも半年程度の短期集中でリーダーシップや経営者視点などを養うことを目的としたプログラムとなっている。「レベルが上がると、世界共通のカリキュラムに参加し、グローバルで切磋琢磨しつつ力を養うようになっています」と赤津氏はいう。
世界共通のカリキュラムは、グローバル企業ならではの強みだ。「各国で個別に研修デザインを考え、テキストを作成し、研修を実施し、結果の評価を行うよりも、1カ所でまとめて行う(Center ofthe Excellence, 略してCoE)ほうが、質の高いカリキュラムをより早く、経済的に提供できます。たとえ、国ごとのニーズを加味する場合でも、既存のものに若干のアレンジを加えればよいため、効率的な業務が可能になるのです」
トレーニング開発だけでなく、評価や採用の分野でも本社のCoEが、標準化されたサービスをいち早く各国で展開できるように支援している。
グローバル企業として国境を越えた協同を促進する同社。その他にも、部門内での協働、部門間の協働につながる取り組みが多数存在している。「当社ではコーポレートカラーの赤にちなんで、全社一丸となることをOne Red Teamという言葉で表現しています。1万点を越える製品やサービスを組み合わせ、顧客のニーズにタイムリーに応えるためには、One Red Teamになることが必須です。有志による勉強会、ボランティアによるイベント、グローバルのデータベースによる社内の担当者・専門家の検索システムなど、コラボレーションがしやすい風土や仕組みなどをアドバンテージとして、部門間およびグローバルとの共働を加速させていきたいと考えています。道半ばではありますが、皆様の組織開発のヒントとなれば幸いです」と締めくくった。
パネル討議
パネル討議には、引き続き日産自動車の清原氏と日本オラクルの赤津氏が参加。八木氏の司会進行のもと、会場に集まった聴講者からは、組織開発にまつわる具体的な質問が相次いだ。ここでは会場で行われた、主なやりとりを紹介する。(以下、敬称略)
質問:
社内での組織開発本部は、どのくらいの権限をもって活動されているのでしょうか。
清原:
組織開発という活動は、正直なところないと困るというものではありません。それゆえに、ボトムアップでやろうとしても、売り上げや予算等の差し迫った課題に優先度が移ってしまい、99%成功しないと考えています。企業全体であれば、会社のトップが、事業部単位であれば事業部長がトップダウンで実施する必要があるという考えです。
質問:
組織開発の仕事の重要性をトップに伝え、説得するにはどうすればよいのでしょうか。
赤津:
組織開発はKPIを設定しにくく、会社業績への直接的な効果を示しにくいのが難しいところですが、長期的には会社の成長に大きなインパクトがあると考えています。トップには、短期・長期でのメリットとデメリット(費用、行わないことによる弊害など)の両方をオープンに伝え、社員のモチベーションといった数値化しにくい要素も勘案し、検討していくべきだと思います。
質問:
マトリックス組織は、コストがかかるといわれます。コストを抑えながら維持する方法があれば教えてください。
清原:
マトリックス組織を導入すると、全社最適の仕組みがどうしても弱まることがあるものです。標準化したほうがシナジーがあるのはわかっていても、一方的に全社最適を押しつけることに抵抗があるというのが日本企業にはよく見受けられます。当社でもマトリックス組織と全社最適の比重は、行きつ戻りつしがちです。外資系はある部署にとっては不最適になったとしても、全社最適になるならば、割り切って強行できるというところが、日本企業と大きく異なる点ですね。
赤津:
部分最適と全体最適のバランスは難しいですが、当社では基本的に「オラクルコーポレーションという米国本社の視点から見て、全社最適でパフォーマンスを上げる」ことを大切にしています。それでも全社最適が行き過ぎると、各国の社員のモチベーションに影響することもありますから、バランスには注意が必要です。
質問:
協同を促進させるための仕組みづくりで苦労された点や重視した点を教えてください。
清原:
業務と並行しながらCFTを行うと、どうしても目の前の本業を優先しがちになります。そうした状況でも社員が積極的に取り組めるようにいかにしてCFT にプレミアム感をつけるかがポイントでした。CEO の前でプレゼンをするだけでなく、役員との昼食会に出られるとか、そこから昇格者が誕生するなど、特別感を演出することが、取り組みを忙しさの中に埋没させないコツかもしれません。
赤津:
協働して成果が出た、やってよかった、というメンバーの達成感が大事です。ただ、形にするにはそれなりの時間と労力は必要なので、動機づけや事務局の支援も大事だと思います。また、経営メンバーへのプレゼンテーションや社内表彰などで成果を認知することも、取り組みを継続させるうえでは大事だと思います。
清原:
それに、組織開発はよい取り組みだと思っていても営業のように明確な結果で測定されていない以上、自己満足に終わっていることもありますから、定期的に取り組みの○%やめてしまう、というように定量的に見直しを図るのもよいかもしれません。現場が本当に必要としている取り組みであれば、やめた途端に非難囂囂のはずですから。