TOPIC ① 第2回 IMA アントレプレナー委員会特別企画「即興劇でイノベーションを学ぶ」 “集中と解放”の体験から学ぶリーダーシップとイノベーション
2012年3月23日、日本工業倶楽部にて第2回国際経営者協会(IMA※)アントレプレナー委員会が開催された。経営者・起業家を始めとして、要職に就くビジネスパーソンが多く参加する集まりである。今回のテーマは慶應義塾大学の髙橋秀明氏と、CP Project主宰の小山裕嗣氏による「即興劇でイノベーションを学ぶ」。一見経営や組織運営と何の関係もなく思える即興劇から、イノベーションやリーダーシップの種を体感することができるというプログラムの様子をリポートする。
※IMA:1993年に外資系企業経営者協会として創設。その後、ボーダレスな企業理念を共有する外資系企業および国内企業の経営者が融合して活動を広げる。2009年現名称に変更。
即興劇でイノベーション能力を高める
即興劇を演じるプロセスを通じて、イノベーション能力を高めるというユニークなプログラムがある。講師を務める慶應義塾大学 特任教授の髙橋秀明氏は、元富士ゼロックス副社長であり、同社で即興劇を使ったマネジメント、特にリーダーシップのトレーニングを行った経験がある。現在は大学院でビジネス構想力に関する授業で即興劇を使っている。
即興劇がなぜイノベーション能力やリーダーシップのトレーニングになるのだろうか。髙橋氏とともにプログラムを推進してきた古典演劇企画ユニットCP Project主宰の小山裕嗣は次のように解説した。「私自身も普段は会社経営をしていますが、その中で今、先の見えない状況をいかにして切り開いていくかということが問われていると痛切に感じます。即興劇は英語で“improvisation”。この語源は“先が見えない”という意味です。つまり、先が見えない展開を見えるようにするのが即興劇です」
先が見えない状況の中で、どのようにして参加者一人ひとりが考え行動し、1つのストーリーを展開するか。そこに至る過程を体感することで、イノベーション能力やリーダーシップを高めることができるという。
集中力・想像/創造力を高めるレッスン
では、具体的にどのようなことが行われるのか。当日の様子を一部抜粋して紹介したい。
本プログラムには、ゲストとして新国立劇場演劇研修所第5期修了生の役者2名(梶原航氏、北澤小枝子氏)が参加し、アシストをしてくれる。また、比較的易しいレッスンから始め、最終的には完全即興劇を演じるといった形で、段階的な構成となっている。演劇初心者でも即興劇にスムーズに入っていけるように工夫されていることが特徴だ。