連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第6回 歴史を学ぶ③「 日本史」アイデンティティをつくる
日本史を学ぶのは、外国人の質問に答えるためではない。日本人のアイデンティティの形成に欠かせないからである。そしてその確立は、グローバル人材の要件の1つといってよいだろう。
アイデンティティ形成のための自国史
外国人と接した際の経験から「(自国である)日本の歴史くらい知らないと恥ずかしいなぁと思った」という感想をよく聞きます。典型的には、外国人から日本の文化や歴史ついて質問された際に明確に答えられなかった、という場面が思い浮かびます。
少し意地悪な見方をすれば、外国人の側も自国の歴史について詳しい人はそれほど多くないのではないか、とも思います。しかし、自国のことに答えられないという状況は不安につながります。この不安は、アイデンティティ(自己認識)が不確かであることを突きつけられることにより発生していると考えられます。この点について、グローバル人材の定義を題材に考えていきましょう。