Opinion Column 2 「人間力」あるリーダーは日々の訓練で利己心を克服する
近年、日本では、人間力のあるリーダーを希求されているが、人間力を持つリーダーとは、家族、組織、社会、国家、世界というレベルで人々を感化して行動を起こさせる、強い影響力を発揮する人のことだ。
そうした人は日々の人間関係の中で、自身を鍛える。
グローバルで活躍するリーダーの人間力
これまで、日本、東南アジア、中東において組織リーダーのエグゼクティブコーチングに携わってきたが、その中で、優れたリーダーが持つビジネスコンピタンシーには共通点が見られると感じている。
カッツ・モデル(図表。ハーバード大学教授ロバート・カッツ提唱のコンピタンシーモデル)の定義でいえば、彼・彼女らは、特にコンセプチュアルスキルとヒューマンスキルをしっかり身につけている。思考力と人に対する対応能力が高いため、イメージを言葉にして、わかりやすいメッセージに変える。そして、人を巻き込んで目標に向かって邁進し、必ず成果に結びつける。
ただ、コンピタンシーだけで「人間力」は語れない。人間力のある人は客観的に自身、他者、物事を見ることができ、ビジネス上の能力も人徳も兼ね備えている。
具体例として、あるイギリス人の顔が思い浮かぶ。以前、東京で働く日本人のコーチングを依頼されたが、依頼主が、イギリス在住のイギリス人上司であった。
その上司とは2度会って話したが、部下の潜在能力を心から信じ、部下の能力開発のためには、上司としてどんなことでも支援するという姿勢を持っておられた。