特集 グローバル時代に深い信頼を築く心を動かす「人間力」の磨き方
人間関係構築が難しくなっている昨今の職場。現代の企業人には、どんな環境下でも深い信頼関係を構築できる、「人間力」や「人間性」を保有することが、求められているのである。では、「人間力」とはどんな能力で、どうしたら磨くことができるのか。
グローバル時代の「人間力
「結局、マネジャーの人間力が問われるんですよね」――とは、人材開発担当者や現場の管理者からよく聞かれる言葉である。組織運営の難しさをどう克服するか、という話題の結びに、こんな発言が飛び出す。
これまで「人間力」は、国や学校法人や企業によって独自に解釈され、定義されてきた。しかし、多くの場合、「人間的魅力」、「人格・品格」「人望」などといい換えられることから、論理性と、論理性以外の感性で人の心を動かし、目標に向かわせる人の姿が浮かび上がってくる。
企業が「人間力」を持つ人材を求めるのは、企業と個人の求めるゴールを達成したいためだ。よって、求められる「人間力」も、ゴールに向かうための、シャープなものであるはずである。
そして、ゴールを達成するには、障害が多くなるばかりだ。市場競争のスピードは速まり、個々人の価値観や顧客ニーズは多様化する一方である。組織には閉塞感が蔓延するにもかかわらず、チームのダイバーシティ環境は広がり、働く人のモチベーションスイッチも多様化している。
特に、グローバル化が避けられない今日、グローバルに通用する人間力を備えた人材の育成は急務だ。米サンダーバード国際経営大学院の「グローバル・マインドセット・インスティテュート」のマンスール・ジャビダン教授らは、グローバル人材の要件として、国際ビジネスへの理解などの「知的資本」の他に、自己信頼性などの「心理的資本」や、対人影響力を含む「社会的資本」を挙げている(『世界で通用する人材の要件』ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・ライブラリー、及び弊社調査)。これらは間違いなく、「人間力」を構成する要素だろう。