連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 第 8 回 「人事リーダーが組織開発を学ぶ意味」
「人」こそ最高の経営資源である
「人材マネジメント(HRM)のプロは、経営戦略に強く、その戦略を実現するためにも組織開発に強い人間であってほしい」と常々語る金井先生。そのお手本として招かれたのが、今回のゲスト・LIXIL(リクシル)グループ執行役副社長(人事総務・法務担当)八木洋介さん。鉄鋼会社人事を経てGE(ゼネラル・エレクトリック)入社。日本GEではHRリーダーを務め、組織開発・リーダー育成などを実践。2012 年より現職に就いた。「私が人事に携わる理由は、『“人”が一番インパクトのでかい資源だから』。お金ではなく声ひとつかけるだけで、生産性が10 倍になる経営資源など他にはないでしょう? だからこそ、社員がいつでも相談に来られる『行列ができる人事』でならなくてはならない。社員に怖がられる『マフィア人事』だと、生産性は一気に10 分の1に下がります」(八木さん)。GEで培われ、今や「八木流」となり、きっとLIXILでも実行されていくだろう「組織開発論」をたっぷり聴けた半日となった。
一貫した「経営」と「リーダー像」
従業員30万人。売上12兆円。純利益は約10%。ジェットエンジン、発電所、医療機器、キャピタルビジネスなど多様なポートフォリオを持ち、これまで赤字になったことはなく、常に成長を続けている―― GEは、とにかく強い会社だ。その理由を、「一貫性があるから」と八木さんはいう。「多くの事業をやっていると『寄せ集め』と揶揄されたりしますが、GEはそれを嫌います。なぜなら、多様な事業の経営プラットフォームは全て一緒。プロダクトは違っても『会社』という意味では非常に一貫性があるのです」
講義は、『最強の会社・GE』の経営戦略からリーダー像へと展開された。
【GEの戦略的経営・人事(一部抜粋)】
ベースは「“勝ち”に向けて人を動かす」
1.「 勝ちの定義(=ゴール)」が明確…
GEの場合は「成長」と「リターン」。ゴールがはっきりすると何をやればいいかがクリアになる