Column イノベーションを生む才能 「日本人のアイデンティティ」が生んだ レディー・ガガの靴
「僕が日本人だから成功したんです、あの靴は」
レディー・ガガに認められ、無名のデザイナーが一夜にして成功を収めるという、まさに“シンデレラボーイ”ストーリー。ただし、浮ついたところは感じさせない。なぜ成功できたのかーーー半歩引いて、自らを客観的に見つめる眼が印象的だ。
鎌倉で生まれ育った。幼稚園時代は「一日中、一人で草むらを眺めているような子ども」だったという。もともと人と話すのは得意ではない。園児の自主性を重んじる幼稚園だったので、それも個性と周囲も見守ってくれたが、公立の小学校に上がるとそこはまるで別世界。集団行動が求められ、その環境に萎縮した。しかし、先生に絵をほめられたことをきっかけに友だちも増え、自分の居場所も見つかっていったという。
「僕の場合、ものをつくることが他者とのコミュニケーションの原点。つくって、誰かに認められ、それを通じて世界が広がる。これは今の仕事と同じなんです」