ID designer Yoshikoが行く 第89回 日本の未来を育む 産後ケアリスト®育成
今、我が社は創業以来のベビーブームで、産休明けの短時間勤務制度を利用する、「時短勤務スタッフ」が5人いる。職場復帰してからというもの、出社も退社も保育所経由で、いつも小走りの彼女たちに、わたしが唯一できるサービスは、ランチタイムだけはゆっくりとおしゃべりできる環境を整えることくらいである。休憩コーナーに食後のコーヒーとお菓子を持ち寄りテーブルを囲むと、出るわ出るわ、迫力のママトーク!
「右腕に赤ちゃん、左腕にたたんだ乳母車を抱えて満員電車に乗ったら冷たい視線を浴びてヒヤヒヤよ」「鼻水くらい大丈夫、大丈夫って唱えながら預けてきたけど、ほんとに大丈夫かなぁ」「気合を入れて遠足のお弁当を何度も試作したら、当日はくたびれ果てちゃった」「育児マニュアル通りにいかないってメソメソするママ友がいるけど、いちいちオロオロしてたらママやってられないわ」……。毎日が試練とドラマの連続で、「ガンバルなぁ~」と感心しきりなのだが、どっこいアベノミクス3本目の矢「成長戦略」の目玉である「女性が輝く日本」の、一歩先行くママたちはたくましい。
「出勤する時はそれなりにオシャレしなくちゃって、鏡に向かうとエンジンかかるんですよ~!」
ママになっても、可愛らしさを忘れずにささやかでも社会の一翼を担いたい、という想いは強い。
しかし、その想いだけではどうにもならないこともある。少子化・核家族化・高齢化で、家族や地域といったソーシャルな「子育て力」が著しく低下している現在、ママひとりの頑張りだけでは仕事と育児の両立は支えきれないのだ。
そこで、そんなママたちをサポートする専門家「産後ケアリスト®」を育成しようと、昨年3月5日の「さんごの日」にスタートしたのが一般社団法人日本産後ケア協会だ。代表理事の大久保ともみさんは、20年以上にわたり介護施設やホスピスでアロマを使ってお年寄りのこころや体を癒す仕事に携わってきた。アロマセラピストの友人から、産後のママの孤独とストレスを聞き、24時間休みなく新生児と向かい合い、夜もゆっくり寝られず子育てに奮闘するママの手助けをしたい、と考えたのが協会設立のきっかけだ。