連載 人事の職場拝見! Vol.19 ノバルティス ファーマ 個々の社員とのかかわりを大切にしその人なりのリーダーシップを見出す
世界第2位の製薬会社、ノバルティス ファーマ。「事業を通じて人々のいのちと健康に貢献する」という企業目的のもと、新薬の開発力を強みとして、国内でも成長を続けている。同社の階層別研修を担う人材開発部の取り組みを紹介する。
企業価値を体現できるリーダーを育成
1年に1つ新薬が発売できれば良いとされる製薬業界において、ノバルティス ファーマはこの3年間で10以上の新薬を発売し、今後も数年は新薬のラッシュが続くと予想されている。新薬の開発力は同社の成長の源泉だが、一方で社員は次々と登場する新製品に対応するために、従来と違うやり方で仕事に取り組まなければならない。現状を良しとせず、一歩前へ踏み出さなくてはならないのだ。そして、同社ではそのような人材をリーダーと捉えている。
同社のリーダー像について、人材開発部部長の三谷智雄氏はこう話す。「当社では自身の業績が良いだけではリーダーとはいえません。当社の企業価値と行動規範を理解し、それに基づいてリーダーシップを発揮できることが前提です」
人材開発においては「サポートするから社員が成長する」のではなく、「自ら成長する人をサポートする」という考えがベースにある。なぜなら、自ら成長することがリーダーシップの考え方の基本だからだ。
「リーダーシップの最初は“リード・ザ・セルフ”。まず自分自身を導くことから始まります。そこでは、今の自分の枠から踏み出し、何かに挑戦しようとする意欲が大切です。それが成長するにつれて、“リード・ザ・ピープル”“リード・ザ・チーム”、ひいては“リード・ザ・オーガニゼーション”へと発展していくのです」
こうした考えのもと、中堅社員からマネジメントまでの昇格時に行われる階層別研修は、全てリーダーシップ研修と位置づけられている。