連載 ID designer Yoshikoが行く 第62回 虹の彼方に成功が見えたASTD2012デンバーの夜
前回から引き続き、デンバーで開かれたASTD2012のお話。コロラド産のフルーティな白ワインGuyBrew Vineyardのシャルドネを飲みながら(のつもりで)、ここまでのリヴィジット(振り返り)をしよう。
トニー・ビンガムの「モバイル・ネイティブたちの育成には、学びと仕事をインテグレートしたグレートな組織づくりが必須!」というエネルギッシュな問題提起からスタートした基調講演。続いて登場したジム・コリンズが、『グッド・リーダー』と『グレート・リーダー』の違いを南極探検物語を例にドラマチックに語れば、『ミスター・クリエイティビティ』ことジョン・カオは、華麗にジャズピアノを弾きながら組織の『ストラクチャ(ルールと構造)』と個人の『クリエイティビティ(斬新な発想)』の間に起こる魅力的なイノベーションを音で表現してくれた。“ Somewhere Over the Rainbow(虹の彼方へ)”の演奏で幕を閉じたジョンの講演の余韻に浸りながらも、頭の中に渦巻くのは、「で、虹の彼方の成功はどうすれば手に入るのか?」というモヤモヤである。
そこに、「成功の秘訣はこれよ!」と颯爽と現れたのがこの方。
「ヒトは誰でも『自分のことを語る』のが大好き。でも、『私ってこういう人なの』といってるうちは成功しないわ」(ハイディ・グラント・ハルバーソン)
いやぁ、そうなんですよね。「アタシって、しし座なの」「アタシってB 型なの」「アタシって、慎重派なの」「アタシって……」って、ついいっちゃうんですが、この『アタシって症候群』にアナタも罹ってないですか?
それでは『成功』はどんどん彼方へ逃げていくと警告するのが、社会心理学者で、モチベーションの専門家としての著作も多いハイディ。一見おっとりとエレガントな雰囲気だが、その主張は、「全ては経験と学習と努力で決まる。成功したいと思えば成功できる!」とまことに力強い。なんでも、「こうしたい」という強い思いが『脳の筋力』を鍛えて思考パタンを変え、さらには行動パタンをも変化させるという。
脳も体育会系の時代なのね(汗;)。でも、『脳の筋力』を鍛えるって、どうすればいいの?
ハイディの答えは至ってシンプル。成功するためには「行動の準備をする第1フェーズ」と、「実際に行動する第2フェーズ」の2つのステップをこなせば良い。