CASE.3 サントリーホールディングス より安心して働ける環境に 65歳定年制を導入し、シニア層のさらなる活躍を促す
サントリーホールディングスは、60歳で定年退職した社員を嘱託社員として再雇用する従来の制度を見直し、この4月より、正社員としての雇用を65歳まで延長する「65歳定年制」を導入する。
対象となるのは、同社に籍を置く約5,000人。
定年を延長するねらいと、シニア層を活かすための施策などについて取材した。
従来の制度ではモチベーション面などに課題も
サントリーは2001年から定年退職者再雇用制度を運用してきた。再雇用後は嘱託社員(エルダーパートナー、以下EP)となり、単年契約で最長5 年間まで延長できるようになっている。処遇は基本的に一律で、年収は定年前よりも下がる。定年退職者の約7割が再雇用を希望し、そのほとんどが再雇用されており、2011年の新規再雇用者数は80 名。2012年10月時点で359 名の再雇用者が働いている。「多くのEPが、定年前と同じ職場で専門性を活かして働いています」と人事本部課長の森原征司氏は話す。
2009 年の純粋持株会社制移行後、人事制度全体の見直しに着手した人事本部は、シニア活用のあり方についても検討を行い、現行の再雇用制度に関する社員へのヒアリングを実施。その結果、浮かび上がった課題とは――
「再雇用では正社員から嘱託社員に立場が変わるため、本人や周囲が互いに遠慮してしまう、といったことがありました。また、成果を給与などの処遇に結びつける仕組みが十分でない中、モチベーション面での課題を指摘する声もありました。一方、マニュアル化できない技術伝承など、これまで培ってきた経験を活かすことも含めてシニア層に担ってほしい役割があり、若々しい心持ちでイキイキと活躍している方が大勢いらっしゃる。こうした実情を踏まえ、シニア層により一層活躍してもらうにはどうすればいいかという観点から、制度の見直しを検討してきました」