CASE.1 あさ川製菓 雇用継続先進企業の知恵 高年齢の職人を導いてきた 会社の「期待」と「責任」
あさ川製菓は菓子製造で創業141年を数える老舗企業だ。
古くから高年齢の職人が活躍し、2006年(平成18年度)には、就業規則を改訂、99歳までの再雇用を打ち出している。
高年齢者を雇用する会社にはどんな視点が必要なのか。
代表取締役の桐村幸雄氏に話を聞いた。
創業の明治の頃より現場を支えたベテランたち
あさ川製菓の創業は1872年(明治5年)。今年で141年目を迎える菓子製造の老舗企業だ。創業の基本理念にはこう書かれている。「究極まで原料素材をありのままに追求して、おいしいお菓子づくりを具現する」。品質がより良く、おいしい和菓子、洋菓子を提供するため、創業時から60歳を超えてもベテランたちを継続雇用してきた。ここでは高年齢者が活躍するのはごく当たり前の風景だ。創業5 代目社長である桐村幸雄氏は語る。「先々代社長の当時も高年齢の職人がいました。当社は原料素材にこだわり、餡も原料から自社で作っています。その材料を商品に仕上げてくれるのが社員たちです。品質の高い菓子を作るには、やはり良い職人やスタッフが必要です」
現在は社員の約2割、50名が60歳以上であり、70 代も3名在籍。最高齢の78歳の男性社員は和菓子製造の現場で、桜餅などの加工を行っている。今もバイク通勤し、大変に元気だ。「ここで働く高年齢者は皆、健康で元気。私も高年齢者を雇用しているという意識をほとんど持っていません。それくらい、皆さんには活躍してもらっています」
2006 年の改正高年齢者雇用安定法の施行を受け、就業規則を改訂。60歳定年になった希望者全員を65歳まで嘱託社員として再雇用。さらに健康で、業務に支障がなければ99歳まで再雇用するとした。将来的には70歳定年をめざしている。2009 年には、高年齢者の活用への取り組みで、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が主催する高年齢者雇用開発コンテストで優秀賞を受賞。高年齢者と中堅、若手社員がともに働く姿が高い評価を受けている。
リーダーシップを期待し嘱託課長職を設置
では実際、ベテランたちはどのように勤務しているのだろうか。