JMAM通信教育優秀企業賞 受賞企業事例報告 あいおいニッセイ同和損害保険 「お客様に一番身近な保険会社の実現」に向けた本気の人財育成
日本能率協会では、産業界に有効な能力開発のあり方を普及させることを目的に、
1988年「能力開発優秀企業賞」を創設。
第23回となる今回は、あいおいニッセイ同和損害保険が本賞を、
エイチシーエル・ジャパン、富士通が特別賞を受賞。そこで、その取り組みを紹介する。
あいおいニッセイ同和損害保険では、2000年代前半に起きた
保険料や保険金の支払いに関する問題の猛省から、品質向上を最優先課題と設定。
顧客満足の実現に向けて育成施策を継続して行ってきた。
業界全体の猛省からお客様第一主義への改革
2010年4月、あいおい損保、ニッセイ同和損保、三井住友海上グループが経営統合し「MS&ADインシュアランスグループ」が誕生した。その半年後の10月には、あいおい損保とニッセイ同和損保が合併。新会社「あいおいニッセイ同和損保」は、同グループの中核企業に位置づけられる。
合併以前から、顧客一人ひとりの声を大切にしながら損害保険サービスを提供してきた2社だが、この合併の理念を「お客様にとって一番身近な保険会社」とし、従来の施策に新たな新入社員育成の支援システムを導入して、両社の強みを活かした能力開発活動を行ってきた。
一連の取り組みを始めたきっかけについて、人事部長の伊藤直弘氏は次のように語る。「保険業界は、この15年で大きく変化しました。1996年の金融ビッグバンを皮切りに、業界各社の再編、保険料率の自由化による独自商品の開発が活発に行われるようになりました。それが一因となって、2005年には保険金未払い問題、2006年には保険料適用誤り問題が発生してしまったのです。多様化する保険商品に対して、社員の育成が追いつかないという事態に業界全体が陥ってしまったというのが、今振り返って率直にいえることです。この経験から業界全体が猛省し、当社では“保険はお客様のためのものであり、お客様のために業務品質が最重要である”と原点に立ち返り、一連の取り組みを実施してきました」(伊藤氏)
では、保険会社にとっての業務品質とは何か。伊藤氏は、「社員と、保険を販売する代理店」だと話す。「ご存知のように、損害保険には商品の“形”がありません。目には見えず、お客様が実際に触って試すこともできません。では何が商品の質を左右するかというと、保険を説明し具現化する“人”。この点に着目し、全社員の業務品質の向上と均一化を推し進めてきたのです」(伊藤氏)
全社員を多方面から育成し高い品質を保つ
現在同社では、大きく分けて次の3つの側面から人財育成を行い、それを下支えする制度を設けているという。
●業務品質の均一化
●顧客目線の習得