内省型リーダーシップ なぜ内省が できないのか?
現代の企業では、創造性を高めることが求められている。そこで有効なの
は、内省型リーダーシップだ。だが、自分を見つめ内省をするのは簡単で
はない。今回は、内省を阻む要因を紹介したうえで、どうしたらそれらか
ら解放され、内省ができるのかを紹介する。
リーダーシップの2つのタイプ
前号、内省がリーダーシップを発揮するうえで重要な要因であることを述べました。
優れたリーダーの多くは、内省し、自分の世界観や人間観を見つめ直す経験を重ねていることが、筆者のこれまでの調査の結果から明らかにされてきたのです。優れたリーダーは、表面的な物事にただただ反射的に反応するのではなく、自己の世界観・人間観を見つめ直し、より深く物事の構造やパターンを探究し、必要に応じて自己変革を起こし、周囲との深い対話によって事態をより良い方向へと導いていたのです。
筆者は、この内省を自分が自分をリードする「内なるリーダーシップ」と呼んでいます。実は、この内なるリーダーシップが、他者をリードする「外なるリーダーシップ」に対しても良い影響を与えていることが実証的にも明らかになってきたのです。
前回は、リーダーシップを2つのタイプに分ける考え方を紹介しました。
1つのタイプは、目の前の出来事に反射的に応じてしまう傾向が強い「反応型リーダーシップ」。これは一見すると意志決定がスピーディなようでありますが、実は自分が過去に学習したパターンを繰り返してばかりいるタイプです。
もう1つは、目の前の出来事の背景や構造を読み解き、内なるリーダーシップを働かせようとする傾向が強い「内省型リーダーシップ」です。内省型リーダーシップは、自分をコントロールし、場の中で自分が発揮する影響力を適切なものに配慮することで結果的に他者への外なるリーダーシップを高めていると考えられるのです。
これらの2つのタイプのリーダーシップを比較していくと、多くのリーダーが反応型から内省型のリーダーシップにシフトすることがとても重要であることがわかると思います。以下にそれぞれのリーダーシップのより詳しい特徴を挙げ、比較をしてみましょう。
反応型と内省型のリーダーシップの特徴
前回もご紹介しましたが、もう一度反応型リーダーシップの特徴について説明したいと思います。反応型リーダーシップは、即断即決のため、時に勇敢で効率的に見えます。けれども、実は出来事を深く掘り下げて見ていないために、問題の本質的な解決に至ることができない場合が少なくありません。