マーケティング② マーケティングの心理学
前号の第4回では、人事・教育担当者が知っておくべき
経営の知識の中から、マーケティングを取り上げた。
マーケティングとは人間の無意識に働きかけるものであ
るということである。本稿では一歩進んで、その働き
かけ方に関する心理学を紹介する。
無意識にアプローチする方法とは
前回は、マーケティングとは何かということを掘り下げ、マーケティングとは人間の「無意識」を突き詰めていくもの、という話をしました。人間の求めるものが、物質的なものから精神的なものへと急速に変化している時代にあって、無意識を無視したマーケティングはありえないからです。
そもそも自分が何を買いたいのかすらわからずにスーパーに入り、出てくる時は思いもよらなかったものを買っているのが人間らしい人間。商品に十分な説得力さえ持たせれば、それだけで顧客を動かせるような時代は、もはやとっくの昔に終わっていること。さらには、一般的に行われている顧客ニーズ調査にしても、企業が正しい判断を行うためになされるのではなくて、むしろ企業の判断が「科学的な根拠」に基づいていることをアピールするために行われるということを紹介しました。
ここまでの話を総合すると、左下のような図になるでしょうか。
どこまでが客観的な事実で、どこからが自分に都合の良い仮説なのかを正しく判断する力がないと、顧客ニーズの調査をしているようでいて、結局は自己満足を追求しているだけということにもなりかねません。ではどうすれば、水面下の無意識にアプローチすることができるのでしょうか?
ここで登場するのが、広い意味での「心理学」です。
マーケティングに応用される心理学
マーケティングに応用される心理学として代表的なものを、3つほど紹介しておこうと思います。読者の皆さんはすでに心理学系の知識を多くお持ちとは思いますが、それらをマーケティングという視点から捉え直すきっかけとなれば幸いです。