今月のNEWS
「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査(JLPS)2010」の結果を分析して
雇用形態・性別の違いで生じる学ぶ機会の格差
●東京大学社会科学研究所
東京大学社会科学研究所は、同研究所が実施した「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査(JLPS)2010」の結果に基づき、基本的な集計と分析をまとめた。同調査は、人々の働き方、家族形成、社会や政治に関する意識・態度の変化を探るというもの。調査対象者は、若年調査(23 歳~ 37 歳)では2174 名、壮年調査(38 歳~43 歳)では1012 名となっている。
自己啓発と職場における教育訓練の有無を①職場での教育訓練のみ、②職場と自己啓発の両方、③自己啓発のみ、④いずれもなしの4つに分類して調査。その結果、非典型雇用(正社員以外)よりも典型雇用(正社員)の人のほうが職場で教育訓練を受けている割合が高いことがわかった。教育訓練を受けている割合は、男性の典型雇用では約3割であるのに対し、非典型雇用では2割にとどまった。女性では典型雇用では4割であるのに対し、非典型雇用ではわずか1割台にとどまった。この結果から、職場での教育訓練は、雇用形態によって受ける機会に差が生じていることがわかる。
また、自己啓発を行うにあたって妨げを感じているかを尋ねたところ、男女ともに7割以上の人が感じていると回答。
自己啓発を妨げると感じる理由は、典型雇用では男女共に1位「時間がない」、2位「費用高額」、3位「仕事で評価されない」の順になり、非典型では男女共に1位「費用高額」、2位「時間がない」、3位「学習内容不明」の順番で、雇用形態が異なると阻害要因も異なることが明らかになった。また、女性の非典型雇用でかつ10 年後には正社員として働くことを希望する人で「費用高額」と感じる人が多いことがわかった。正社員への移行を希望しない人は37%であるのに対し、正社員への移行を希望する人は57%にのぼったことを鑑み、同研究所では、正社員への移行を希望する人たちの自己啓発を金銭面で支援する施策の必要性を指摘している。
問い合わせ
東京大学社会科学研究所
TEL:03-5841-4943