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タイミングのいい報・連・相で チームのビジョンを達成する
報・連・相というと、部下が上司に
仕方なくやっているという印象がないだろうか?
だが、本来は、チームでビジョンを達成するために、
自ら創造的に行うものである。
ここでは、創造的な報・連・相に欠かせない、タイミングについて紹介する。
ビジョン達成のために主体的な報・連・相を

私はこれまで、セミナーや研修を通じてたくさんのビジネスパーソンと接し、ビジネス上のミスや失敗の事例にも数多く触れてきた。なぜミスが発生してしまったのか?
どうして、クレームに発展するような事態になったのか?
その理由を解明して改善に役立てるため、ご本人たちに失敗体験の要因分析をしていただくのだが、その結果を見ると、失敗したケースのほとんどに報・連・相が少なからず関与している。
ビジネスにおいて報・連・相が重要であることは誰もが知っている。新人研修でも中堅社員研修でも、必ず報・連・相の重要性を説く時間が設けられているし、今や内定者研修でさえ、「職場でのコミュニケーションで大事なことは?」と質問すれば、
「報・連・相です」という答えが瞬時に返ってくる。
しかしながら、それが重要だという認識だけでは、うまくいかない。
その目的や意義、また、報・連・相を行うベストなタイミングはいつなのか、といったことを職場で話し合い、現場で共有することが必要なのだ。だが、現状では、そういった話し合いはされていないことが多い。そういう理由もあって、報・連・相は“叱られないために、仕方なくする作業”と思われがちだ。それでは、良い報・連・相ができるはずがない。
では、報・連・相は一体何のために必要なのか?
一言でいえば、与えられた経営資源を最大限に活用して、リスクを未然に防ぎ、ビジョンを実現するためである。仕事を通じて、会社の売り上げに貢献する、より質の高い製品やサービスを提供して顧客に喜んでいただく――そういった素晴らしい結果をチーム全員が手にするために欠かせない手段。それこそが報・連・相である。
サッカーにたとえるなら、チーム全員が勝利に対する熱い思いを共有し、一人ひとりがゴールをイメージして的確なパスを回し、勝利を手にする。その“的確なパス回し”が報・連・相に相当するのだと思う(図表1)。
つまり本来、報・連・相は、ビジョンを達成するために、自ら判断し主体的に行うものなのである。
プロフィール

坂本 敦子氏(さかもと・あつこ)
人財育成コンサルタント、タイミング
マネジメント®マスターファシリテー
ター。日本航空に国際線客室乗務
員として入社。その後、BASFジャ
パンの人事部で採用、育成に携わ
る。1995年に独立し、現職。人生・
ビジネスの好機をつかむ「タイミング
マネジメント®」(行動学)を開発し、
2005年に発表。著書に『忙しい忙
しいと言うわりに成果の出ないあなた
のためのタイミング仕事術』(日本経
済新聞出版社)、『タイミングをつか
みとる人、はずす人』(ダイヤモンド社)。
取材・文/木村美幸、写真/プライムタイム提供