ASTDの 組織・人材開発プロフェッショナル 認定資格CPLPの意義
今、企業は、世界で戦える優秀な人材を育てる必要がある。
そのためには、まず人材育成を担う人材開発部門およびそのメンバー自身が
世界で戦えるだけの強いプロフェッショナル集団になる必要がある。
本稿では、ASTDが開発・認証している資格、CPLPの紹介を通じて、
より強い人材開発部門になるための具体的な道筋を探る。
2つの声からわかる事実
「日本本社の人材開発部門にプロといえる人がいないから、あまり相談はしないね」――これは欧米の人材開発系カンファレンスに出席した際に、現地子会社の米国人人材開発担当者が何気なくいった一言である。
もう1つ、「他の企業からうちの人材開発部にヘッドハンティングしたいという人材は皆無ですね」――これは日本のあるグローバル企業の人材開発部長から聞いた話である。
この2つの声からわかることは、日本企業の人材開発部に「組織・人材開発の専門性を持った人材」が不足しているということである。キャリアパスや専門教育機関が少ないなどの外部要因もあるが、一方で、ビジネスのグローバル化という現実は避けられず、そこで人材開発部は「世界で戦えるプロフェッショナル人材の育成」という大変重要なテーマを持つ。そのためには、まず企業内人材開発部が組織・人材開発のプロフェッショナルとして“強く”ならなければならないと思う。
では組織・人材開発のプロフェッショナルとは具体的に何なのか?
ここでは「部門としての活動」と「個々のメンバーに求められる能力」の2つの側面で見ていきたい。
まず前者「部門としての活動」である。ここ10年位の間に「戦略的人材開発」という言葉が企業内人材開発部や外部コンサルタントの間に浸透してきた。これは「企業戦略と人材開発の連携」を意味しているが、そういうことのできる人材開発部の活動を俯瞰すると、図表1のように示すことができる。
これはHRDコンピテンシーモデルといい、エイチ・アール・ディー研究所がこれまでの経験を元に「企業の戦略遂行を実現できる社員育成のために必要な、人材開発に関わる部門の活動を網羅的に言動で定義したもの」である(4つの領域の活動を各企業の人材開発部にとって最適なレベルで発揮することが求められる)。
そして、このような活動を行うためには、後者「個々のメンバーに求められる能力」も当然であるが“あるレベル”が求められる。その具体的な指針となるのが本論で紹介するCPLPという資格である。