ID designer Yoshiko が行く 第88回 世界へ伝えたいしなやか福島レジリエンス
東日本大震災から3年と5カ月目の夏の夜、東京・丸の内の復興支援イベント会場で、新鮮な福島産の野菜をつまみに、キンと冷えた会津の郷酒(さとざけ)「弥右衛門」を賑やかに楽しむ一団がいた。
「うわ~、おいしいっ!」
暑さも忘れる純米吟醸の爽やかなおいしさに思わずそうつぶやくと、「さぁ、もう1杯!」と一升瓶から豪快についでくれたのが、寛政2年(1790年)創業の会津喜多方の造り酒屋「大和川酒造店」の9代目当主、佐藤彌右衛門さんである。
あの未曾有の大震災の時、何はさておき水がなくてはと、酒造りに使う大事な井戸水を、浜通りや中通りの取引先に懸命に運び続けた佐藤さんが、今取り組んでいるのがメガソーラー(大規模太陽光発電所)「雄国発電所」の建設。脱原発、再生可能エネルギーによる地域の自立をめざして昨年発足した会津電力の社長として、このプロジェクトをリードしている。
福島から学ぶ
「震災から何を学び、後世に何を残すべきか」
福島の人たちはこう考え続け、たくさんの挑戦を繰り返しながら、自立的な復興をめざし一歩一歩進んできた。その大いなる挑戦のひとつが、喜多方市東部の山の斜面約2万1千平方メートルに3740枚のパネルを置き、県内の電力自給を可能にするメガソーラーなのだ。