著者に聞く 継続的にイノベーターを生み出す組織こそが、革新的価値を創造する
本書は、企業変革支援アウトソーサーとして、さまざまな企業の経営革新に取り組んできた吉村慎吾氏(ワークハピネス代表取締役社長)が、イノベーションが継続的に生まれる組織の法則を解き明かしたもの。心理学と組織論を融合させる形で構築された、これまでにないイノベーション理論は、企業経営者のみならず、人事・組織部門、個々のビジネスパーソンにとっても読み応えのある一冊だ。なぜ今、イノベーションなのか、著者である吉村氏に、本書を刊行するに至った問題意識や今後の展望についてお話を伺った。
真のイノベーションとは
“社畜”という言葉があります。自分が「何をしたいか」ではなく、「どうすれば会社で生き残れるか」しか考えない人たち。会社が全てであり、ひたすら従順であることに価値を置いた生き方をする人たちを意味する言葉ですが、私はそうした人たちに対して強い違和感を覚えてきました。
もっとも、今回の著書で読者としてターゲットとしているのは、ビジネスパーソン。個々人というよりも経営者や人事、組織マネジメントの任にある人たちです。経営者・マネジメント層が、自身のサバイバルしか考えていないような会社に未来はありません。大過なく自身の任期を全うすることしか考えない経営者のもとで、どうして厳しい競争社会を生き抜くことができるでしょうか。
ピーター・ドラッカーは、「経営における仕事は、マーケティングとイノベーションの2つしかない」と言っていますが、今の日本の企業経営者の中で、イノベーションを真摯に追求している経営者がどれだけいるのか。私は今こそ、イノベーションの本来の意味を正しく認識することから始めるべきだと考えます。