おわりに リフレクションで悪い癖を直せ! 管理職の「型はずし」
慣れがもたらす悪い癖
「型があるから型破り。型がなければ、それは形無し」──2012年に亡くなった歌舞伎役者18代目中村勘三郎さんの言葉である。歌舞伎をはじめとする日本の伝統芸能や武道では、基本の型を身につけ、それを壊して自分流の境地をひらく「守破離」が尊ばれる。勘三郎さんの言葉は、型を修得したからこそ自分流が生きるのであり、型がない者が自分流を出しても空虚だということを言っている。
伝統芸能に限らず、基本が重視されるのは学びの世界では同じである。まずは基本を知り、基本を体得したうえで自分なりのやり方を加えていく。ビジネスでも、そうした過程を経て、仕事の習熟度を上げていく。もちろん、マネジメントにおいても同様である。マネジメントの基本の型を修めた後に、自分流を組み込み、その人らしさのマネジメントスタイルを構築していく。
ここで注意したいのが、一度身につけたやり方にこだわり続けることだ。慣れたやり方をそのまま踏襲することは経験が重なるだけで、さらなる成長に結びつくかは疑問である。それ以上に、仮に悪い癖が身についてしまっているのに、それに気づかずにいることは問題だろう。
そうした慣れの懸念から、本号では「管理職の型はずし」を特集テーマにし、3名のオピニオンから管理職の型はずしはなぜ必要か、特に部下育成ではどんな期待があるかを取材した。そして2社の人事担当者からは、型はずしのような施策を組織内でどう実践し、機能させているかを聞いた。