新連載 金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 第1回 会議学
成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか?その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策1つで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。
今こそ組織開発!
神戸大学で行われている「人勢塾」第4 期(全10回:5/12 ~ 7/21)のテーマは「組織開発(OrganizationDevelopment=OD)」。本誌でも5月号で「組織活性化」の特集を組んだばかりで、旬のテーマの1つともいえる。しかし、「組織開発」の定義は実にさまざまだ。
たとえば、組織開発の重鎮といわれるリチャード・ベッカード(Beckhard1969)によると、組織開発とは「①計画に基づき、②組織全体にかかわる努力であり、③トップ主導でマネージされ、④組織の有効性や組織の健康を高め、⑤行動科学の知識を活用して、組織のいろいろなプロセス(手順)における計画的介入もしくは計画的ゆさぶり(planned intervention)を行うこと」である。一方、研究者によっては「そもそもODに標準的定義はない」という意見もある。「『組織』とはいったいどの範囲を指すのか」「『開発』の定義がハッキリしない」ともいわれるし、その定義は今、混沌としているといえよう。だからこそ、金井先生は「無理に定義して枠にはめるのはもったいない。多様なゲストの先生との出会いから学び、自らの組織に合う受け取り方を考えてほしい」という。
実践のための“気づき”
本誌では、「人勢塾」セッションのレポートと事前・事後の課題を毎号一回分ずつ掲載する。読者の皆さまには、ただ読んで知識を得るだけでなく、ぜひ「人勢塾」参加者と同じように、課題図書を読んだり、事前課題と振り返りにトライしていただきたい。