Opinion 2 「そうかもしれない思考」で高める問題発見能力・感度
問題解決のためには、そもそも問題を“問題”として捉える視点が欠かせない。しかし現在、変化が速いビジネス環境や、多くの情報が溢れる中で、じっくり物事を考え、多様な可能性に思いを巡らせることができなくなっている。和田秀樹氏は、精神科医、大学教授、受験指導塾運営、評論家、映画監督と多くの顔を持ち、年間40冊近い著書を刊行する。さまざまな問題に取り組む和田氏の、問題発見の視点はどのようにして身につけられるのか。問題発見能力習得や、感度を高めるためのポイントを聞いた。
問題解決の前に問題発見感度を身につけよ
ビジネスにおいてはさまざまな場面で問題解決能力が求められるが、その前提として重要なのは、問題を問題として“発見”する感度だ。
しかし、日々の出来事や風景を当たり前だと思っている限り、問題には到底気づくことはできない。
そもそも問題に気づくことができない理由の1つは、テレビのコメントに見られるような、わかりやすく単純な結論に飛びついてしまい、考える習慣がないためである。
現在ビジネスにおいては、国際競争力をつけるために、早く結論を出して行動しなくてはいけないという風潮がある。一種のスキーマ(認知的・理論的枠組み)からくる強迫観念だといってもいい。
しかし実は、物事には急いで結論を出さなくてはいけないことと、じっくり考えなくてはいけないことがある。重要なのは、この2つの区別をつけて考えることだ。
たとえば、企業のブランドイメージに関することは、長期スパンで検証すべきことの代表だろう。
反対に、トライ&エラーで改良できるようなこと――商品のアイデアや仕組みの改善などは、どんどん試してみれば良い。失敗したらその教訓を次に活かせば良いのだ。