数字よりも現場を体感して 考える人材を育てる
オイシックスでは、スタッフが生産者や顧客に接する機会を
創業時から意識的に設定してきた。それによって顧客のニーズや
生産者の想いを体感し、ロジカルシンキングの手法を使って
問題解決を導くことができる人材を育成している。
“スキル”より“ウィル”の採用と人材育成
オイシックスは、インターネット最大級の「体に良い食品専門スーパー」だ。全国1000軒以上の農家と提携、産地を厳選し、旬の有機野菜や畜産物などの食材を提供している。
従来、こうした有機野菜や食品等を宅配で販売するシステムでは、生産量に制限があり食材の選択肢が少なかったり、セット販売しかなかったりと、生産者寄りの販売方法が主流だった。
そこでオイシックスでは、食材を単品で選べる、時間指定ができるといった形で「お客様視点」のサービスに特化した結果、2000年の創業以来、二桁成長を続けているという。
その成長の推進力となっているのは、まさに独自の人材育成。創業時、人材育成の基礎をつくった取締役事業本部長の堤祐輔氏は、人材に対する基本的な考え方を次のように語った。「当社では、スキルよりもウィル(Will、意思)を重視してきました。というのも、人が成長するには、自らの意思、ウィルが土台として不可欠だと考えるからです。同業者で既存のスキルが高い人よりも、たとえ未経験であってもウィルのある人のほうが伸びしろがある。その考えから、創業当初、食品小売の経験者は全くいませんでした。銀行出身者だとか、前職のプロフィールは皆ばらばらだったんですよ」(堤氏、以下同)
特に創業当時は会社規模が小さかったことからも、知名度ではなく成長性に期待を寄せて応募してくる人材がほとんどだったという。その中から、「より多くの人が、豊かな食生活を簡単に送れるようなサービスの提供を行う」という企業理念に共感し、自ら行動できるウィルを持った人材を採用してきた。
このスキルよりもウィル重視の採用が、同社の成長を支えてきたことは間違いない。創業時メンバーの前職の経験がバラバラだったからこそ、既存の慣習にとらわれず、顧客本位のサービスを実現、成長してきたといえるのだろう。
ちなみに新卒採用に関しては、定期的な新卒一括採用は行わず、インターンシップを経た学生から採用。インターンシッププログラムで一定の評価基準を満たした学生に「入社パス」を付与する仕組みだ。