ワンワード論語 第9回 「勇」
Vol.8の「美」(長所・資質)を把握して高めようとする時や、Vol.3の「過」(失敗)を反省して改善する時に、絶対不可欠なものが「勇」です。
講演やセミナーにおいて、優しさ、思いやり、指導力など、実践できていると思うことについて尋ねると、それなりに手が挙がります。ただ、勇気について尋ねると、不思議に勢いよく手が挙がりません。なぜなのでしょうか。全員が謙虚だから?他の長所については勢いよく手が挙がるところをみますと、そういうわけでもなさそうです。今回は、この勇気を意味する「勇」について学んでいきましょう。
●正しいと思うことを実践するために
今月の論語1は、とても有名な教えです。“義”とは、正しく、そうすべきと考えること。それがわかっていながらできないのは、ただただ「勇」がないからという教えです。「勇」は、“男”という字が見えるので、攻撃的で男性的なイメージを持たれがちですが、“力+甬”で構成されています。“甬”は、舞踊の“踊”をイメージしてもらえばわかりますが、足でとんとんと突くように足踏みをすること。そこに“力”がプラスされています。力があふれ足踏みして奮い立つ状態を表現したワードが「勇」であり、男女共通のものです。