おわりに 能力を見出し、ともに成長していくために
「法定雇用率のクリア自体が目的化している」――Opinion1 中島隆信氏は記事中で、これを日本の今の障害者雇用の課題の一つとして挙げている。ただ法定雇用率をクリアすればいいのなら、雇用して終わりであり、あとは“仕事のように見える仕事”をさせておけばいいということになるのかもしれない。しかし、それが実は企業にとって“損失”であることは、本特集で見てきた通りだ。障害者たちの能力や個性を引き出すことで、生産性の高い仕事を任せることも可能なのだから。
能力をどう引き出すか
障害者が得意な分野を見つけ、能力を発揮すると、健常者よりも優れた働きを見せることは、今回紹介した事例の中で証明されている。こうした能力を見出すことで、健常者と障害者が役割を分担することができる。特集の冒頭で述べた、企業・本人・職場にとっての理想的な状態に近づくのだ。しかし、そのためには仕事の創出(切り出し)や、未経験の仕事への挑戦、そして失敗した時や、心が折れた際のフォロー体制等が必要になる。