TOPIC ASTDレポート2013 世界から人が集うことで生まれる学びの“相乗効果”
情報以上の刺激とネットワーク
毎年開催されるASTD(AmericanSociety for Training and Development:米国人材開発機構)のInternational Conference & Exposition(以下ASTD-ICE)が、今年はテキサス州ダラスにて、5月19~22日に開催された。今回で69回目となるこのASTD最大のイベントに、今年は世界中から約9,000名が参加、うち海外(アメリカ以外)からは87カ国から2,200名が参集した。参加者の多かった国は、1位 韓国(387名)2位 カナダ(235名)3位 中国(172名)4位 日本(128名)5位 ブラジル(124名)である。この順位は昨年と全く同じで、韓国からの参加者数は私の知る限りここ数年来トップである。日本からの参加は、ASTDの日本支部にあたるグローバルネットワークジャパンが発足した2008年の264名が最多だったが、その後減少し、ここ2~3年はほぼ現在と変わらない。ASTD-ICEでは毎年メインテーマが設定されているが、今年は、『Content, Community, Global Perspectives(学びの内容、人の集まり、グローバルな視点)』。このテーマ通り、各分野における第一人者がスピーカーとして名を連ねるASTD-ICEは、「学びの内容」の質も他に例を見ないほど高いといって過言ではないであろう。たとえば、今年とても印象的だった1コマに、ケン・ブランチャード氏、マーシャル・ゴールドスミス氏、スティーブン・コヴィー氏(『7つの習慣』のコヴィー氏の子息)が参加してのパネルディスカッションがあった。この3人が並んでいる姿に、シャッターの嵐が止まらなかったのは全く不思議ではない。さらに、そこにさまざまな国から人々が集まり、交流することによって、その学びに相乗効果を生む。9,000名もの参加者と場を共有することで、その交流から生まれる可能性やエネルギーは、非常に刺激的だった。「情報を得る」ためだけであれば、今の時代、わざわざ参加しなくても、方法はいくらでもある。「情報」だけではない大きな収穫や刺激があるからこそ、毎年参加する価値がある、と私自身も強く感じている。今年のASTD-ICEのメインテーマは、それを端的に表現しているのではないだろうか。
今年注目の3大テーマ
ASTD-ICEの4日間で300を超えるセッションが開催されるが、その基本構成を紹介する。初日は、午前中に初めての参加者向けのオリエンテーションなどがあり、昼頃からセッションがスタートする。各セッションは75~90分で、この日のセッションは、各自が選んで参加するものばかりである。2日目と3日目の朝は、ASTDのCEOやプレジデントによるスピーチの後、基調講演がある。それが終わると、初日と同じように選択式のセッションが続く。2日目の基調講演後には展示会場もオープンし、各出展社がブースや併設会場で行うセッションなども始まる。休憩時間や昼食時間などに展示会場に行き、ブースを見て回ることができる。最終日の4日目は、朝から選択式のセッションがあり、最後が基調講演で終了する。セッション数が多いため、ASTDICEでは、自分の興味・関心に合ったものを選びやすいように、テーマによってトラックに分類されている。今年設定されていた主要トラックは、以下の8つである。・Career Development ̶キャリア開発